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『日本の人』25周年記念スペシャルCD&アナログが発売

CD

30周年のメモリアルイヤーを迎えた坂本冬美。その締め括りに、坂本冬美の歴史において、重要な音楽活動のひとつだったHISのアルバム『日本の人』が25周年記念スペシャルCDとして再発売される。

HISは忌野清志郎と細野晴臣と坂本冬美で結成されたユニット。今回は2人との出逢いに感謝の気持ちを込めての記念リイシューとなる。

【商品情報】
『日本の人』
2016年12月14日 発売
2,500円(税込) UPCY-7197(高音質SHM-CD)
*ボーナス・トラックとして、2005年に坂本冬美名義でリリースしたシングル(「Oh, My Love 〜ラジオから愛のうた〜」「幸せハッピー」2曲共、作詞:忌野清志郎 作曲:細野晴臣)を収録!!
*25周年アナログ盤も発売。4,320円 (税込)、UPJY-9064
<収録曲>
1. HISのテーマ
2. パープル・ヘイズ音頭
3. 夜空の誓い
4. 逢いたくて逢いたくて
5. 渡り鳥
6. 500マイル
7. 恋人はいない
8. おやすみ もうすぐ逢える
9. スキー・スキー(スキーなの)
10. 恋のチュンガ
11. ヤングBee
12. セラピー
13. アンド・アイ・ラヴ・ハー
14. 日本の人
<Bouns tracks>
15. Oh,My Love 〜ラジオから愛のうた〜
16. 幸せハッピー

http://www.universal-music.co.jp/sakamoto-fuyumi/products/upcy-7197/

<音楽評論家・北中正和氏による解説>

演歌の坂本冬美、ロックの忌野清志郎、テクノの細野晴臣、それぞれ異なる背景を持つ3人の出会いから生まれたユニットHISのアルバム『日本の人』が坂本冬美のデビュー30周年を記念して、高音質SHM-CDとアナログ盤、ふたつの形でよみがえった。今年2016年は『日本の人』にとっても発売25周年の節目にあたり、二重の意味で記念アルバムということになる。

CDのほうは、「Oh,My Love ~ラジオから愛のうた~」「幸せハッピー」の2曲をボーナス・トラックで加えたスペシャル・ヴァージョンでの発売だ。この2曲は2005年にNHKのラジオ放送80周年を記念して作られた作品。坂本冬美名義で発表されているが、曲を依頼された細野晴臣が作詞を忌野清志郎に、歌を坂本冬美に指名して作られた。実質的にはHISの3人の再会曲であり、うれしいボーナス・トラックと言っていいだろう。

3人の名前の頭文字をとったHISというユニットは、1990年の『ロックが生まれた日』というイベントにSMI(坂本冬美、RCサクセションの忌野清志郎、MOJO CLUBの三宅伸治によるトリオ)が出演したことからはじまった。当時溜池山王にあった東芝EMIのロビーの催しで坂本冬美がうたっているのを、同じレコード会社にいた清志郎が聞いて強い印象を受け、一緒にやりたいと声をかけたのが、そもそものはじまりだったという。

同じレコード会社とはいえ、当時2人の所属する部署は水と油のようにちがっていた。実現するまでには紆余曲折があったと推測されるが、スタッフの理解もあってライヴでの共演が実現。その発展形として生まれたスタジオ・ユニットがHISだった。演奏には引き続き三宅伸治も参加している。

作詞・作曲の大半は忌野清志郎が手がけ、曲によって歌を坂本冬美と自分にふりわけている。のどに鈴が入ったような坂本冬美の美声のこぶしと、柔軟自在な忌野清志郎の歌声が一枚のアルバムに共存すること自体めずらしく、デュエット曲でも、中途半端に歩み寄るのではなく、お互いの個性を生かしたまま共演しているのがおもしろい。ある意味わざとミスマッチな感覚を残しているところがあるのだが、その遊びのおかげで、もともと二重三重に解釈できる歌詞の味わいやユーモアがいや増す効果もある。

細野晴臣はこのユニットには音楽的なプロデューサーとして関わっている。YMO散開後の彼は、1989年の『オムニ・サイトシーイング』以降、テクノ、アンビエント、ワールド・ミュージックなどを統合した音楽で注目されていた。『日本の人』では、アコースティックな感覚を生かし、簡潔で透明度の高い唯一無二のサウンドを作り上げている。

ジミ・ヘンドリックスの「パープル・ヘイズ」は残響の少ないギターを使って「パープル・ヘイズ音頭」に生まれ変わり、クレイジーキャッツの引用もある。ビートルズの「アンド・アイ・ラヴ・ハー」にはインドネシアのクロンチョン的な響きが加わる。ラテンのメレンゲやアフリカ風のギターのリズムを使った「渡り鳥」や、ジャマイカのスカとラテンを合わせたような「恋人はいない」もある。当時シングル・カットされた「夜空の誓い」は、サイモン&ガーファンクルにシンセサイザーの幻想的な音が加わったような演奏だ。園まりの「逢いたくて逢いたくて」にはドゥワップ・コーラスが加わり、「ヤングBee」はアフリカン・アメリカンのブルースやリズム&ブルースの感覚。郷愁を誘うタイトル曲には、北島三郎へのメッセージも含まれている。

このアルバムでの忌野清志郎の歌はきわめてロック的だが、「いかにも」なロックではない。坂本冬美の歌も演歌の伝統をふまえているが、「いかにも」な演歌ではない。ロックや演歌に敬意を払いながら、ジャンルの垣根を軽やかに乗り越え、爽快な風を受けて宙に浮いているようなおもしろさがある。発表から25年後のいま聞いてもこのアルバムの自由な感覚の新鮮さは少しも失われていない。

2016年10月 北中正和

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