トップページ コラム/レビュー 東京レコード散歩 東京レコード散歩 その⑦ 青山

東京レコード散歩 その⑦ 青山

東京レコード散歩 その⑦ 青山

鈴木 啓之 (アーカイヴァー) 

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外苑前の歩道橋から見た青山通り(=国道246)

青山といえば思い出すのが、絵画館に連なる銀杏並木の通りで毎年開催されていた東京バザールというお祭りである。父方の祖父母が近くに住んでいたこともあり、幼い頃からよく連れて行ってもらっていた。一番古い記憶は父に大阪万博のメダルを買って貰ったことだから、昭和45年だったろう。後に薬師丸ひろ子が東京バザールでスカウトされたことがあると話しているのを聞いて、同い年のファンとしては妙に嬉しかった。

絵画館前では80年代にフジテレビが“ふり~ばる”というイベントを開いていたのも懐かしい。中継番組のバイトでADを務め、ヘトヘトになるまで一週間こき使われた記憶がある。同世代のアシスタントの女のコたちとの接触が唯一の心のオアシスだった。キョンキョン似で可愛かった細沼小波ちゃん(だったと思う)、元気だろうか。最寄りの青山一丁目駅は、現在では駅の真上のビルにワーナーミュージック、すぐ近くにユニバーサルミュージックと、外資系の二大メーカーが本社を構えており、音楽関係者が多い。

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途中、絵画館前通りを右に見つつ青山通り(=国道246)を渋谷方面に進めば、外苑前駅はすぐ。今回の散歩はここを起点とした。まずは神宮球場へ向かうスタジアム通りを進む。しばらくすると右手に見えてくるガラス張りの建物が、かつて東京ボウリングセンターがあったところ。隣接する神宮球場の手前に、“近代ボウリング発祥の地”のモニュメントがある。センターがオープンしたのが昭和27年だったというから、その歴史はなかなかDSCN117のもの。自分が知る限りでボウリング絡みの最も古い歌謡曲に、大津美子の「ボウリングセンター」がある。37年リリースの10吋アルバム『女の風景』に収められていた曲で、哀愁そそるバラードだった。青春ソングでは、少し後、東京オリンピックの年に出された仲浩二の「東京ボーリングデイト/レッツゴーボーリング」があり、特に明るいB面がオススメ。いつの日か実現させたいボウリング・コンピの冒頭を飾るに相応しいナンバーだ。昭和46年前後の第2次ブーム時には都内のあちこちにボウリング場があったが、今はだいぶ数が減ってしまった。高度成長期の日本映画にはボウリングをするシーンが頻繁に見られる。

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多くの歌手が公演を行った日本青年館

すぐ隣は神宮球場の正面口。後楽園とは違ったあまり派手でない佇まいが良し。愛すべきスタジアムへはつい最近、乃木坂46のコンサートを観に行ったばかりだが、やはり野球場であるからにして、ヤクルト×巨人戦か六大学野球で訪ねるのが望ましい。ここの回廊は少なからずジャケットの撮影に使われてきたと記憶するが、具体例が思い付かぬ。どなたかご教示ください。近い将来その役目を終えるという日本青年館まで足を延ばして建物を撮影してから、神宮周辺を歩く。秋の入口で暑くもなく寒くもない気候。散歩日和で気持ちがいい。

仙寿院の交差点、ビクタースタジオの前を左折して、コシノジュンコが命名したというキラー通り(外苑西通り)経由で再び246に戻る。交差点名は“南青山三丁目”で、細川俊之にそのままのタイトルのレコードがある。この辺りで昔から変わらないのは、ベルコモンズとピーコックだろう。現在、家具と雑貨を扱うフランフランとなっている角地は、80年代中頃はアイスクリームのハーゲンダッツで、西麻布のホブソンズと共に行列で有名だった。三田明が「タートル・ルックのいかす奴」で“青山通り地下の店”と歌ったのも、場所は特定出来ないがこの辺りに違いない。80年代にはマヌカンが闊歩することとなる。

DSCN143さらに進むと、右手にブルックスブラザーズが見えてくる。ここはかつて“青山ユアーズ”という、当時はまだ珍しかった輸入食品専門のスーパーで、入口にハリウッドのチャイニーズシアターよろしく、いろんなスターの手形が飾られていたのが名物だった。子供の頃、店の前でアントニオ猪木に握手してもらったことがある。店内で倍賞美津子が買物しているのを車の中で待っていたタイミングを見計らったのだ。ユアーズの様子は加山雄三主演の映画『海の若大将』(昭和40年)のロケシーンで店内や外観がバッチリ見られるのでぜひチェックしていただきたい。星由里子がレジ打ちをしている姿が見られます。

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『海の若大将』にも出てくる“青山ユアーズ”があった場所。今はブルックスブラザーズ

映画にも登場する表参道の交差点を一旦通り過ぎて骨董通りへ向かったのは、伝説の輸入レコード店“パイドパイパーハウス”の痕跡を確認したかったから。続きは次回、表参道・原宿篇にて!

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東京ボーリングデイト/仲 浩二 (昭和39年)
山上路夫先生の詞が瑞々しい、東京五輪の年のボウリング・ソング。レジャー・ブーム真っ盛り、当時の日本は希望に満ちていた。芸名はビクターの大先輩・鶴田浩二に肖った由。

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タートル・ルックのいかす奴/三田 明(昭和44年)
「アイビー東京」と双璧を成すモード歌謡はルート246が舞台となっている。青山通りのスナックタウン。前年には「小さなスナック」がヒットし、イカしたナイトスポットであった。

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南青山三丁目/細川俊之 (昭和53年)
「あまい囁き」以来、細川のレコードは語りが大半。女性ならずとも、甘くムーディな美声のとりこにさせられる。『ムー一族』でたこ八郎と絡んだコミカルな味も忘れられない。

trs7 なんとなく、クリスタル

なんとなく、クリスタル/柴田恭兵(昭和56年)
昭和55年に発表されてブームを引き起こした田中康夫の小説のレコード化。主人公が青山に住んでいるという設定だった。作詞はもちろん田中康夫。そして近田春夫が作曲している。

trs7 夜霧のハウスマヌカン

夜霧のハウスマヌカン/やや(昭和61年)
DCブランド華やかなりし頃の販売員の悲哀。作詞はいとうせいこう。ヒマラヤ・ミキ名義で「真夏の出来事」をカヴァーし、後に「ランバダ」も歌った彼女はもっと評価されていい。

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246コネクション/荻野目洋子(昭和62年)
昭和の終り、バブル初頭の東京と軽井沢を舞台にしたアルバム。「246プラネット・ガールズ」「北青山3丁目4番地」「キラー通りは毎日がパーティー」などを収録。作詞は売野雅勇。

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東京レコード散歩 記事一覧

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プロフィール

鈴木 啓之

鈴木 啓之(すずき ひろゆき)

アーカイヴァー。昭和40年東京生まれ。テレビ番組制作会社に勤務の後、中古レコード店経営を経て、ライター及びプロデュース業へ。昭和の歌謡曲、テレビ、映画について雑誌などへの寄稿、CDやDVDの監修・解説を主に手がける。著書に『王様のレコード』(愛育社)、『昭和歌謡レコード大全』(白夜書房)など。現在、月刊てりとりぃ誌に「古書とスイーツの日々」を連載。FMおだわら『ラジオ歌謡選抜』にレギュラー出演中。

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