トップページ コラム/レビュー 東京レコード散歩 東京レコード散歩 その⑩ 浅草

東京レコード散歩 その⑩ 浅草

東京レコード散歩 その⑩ 浅草

鈴木 啓之 (アーカイヴァー) 

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東京の名所。現在の雷門は昭和35年に再建されたもので、大提灯は平成25年に新調されたばかり

学生時代、浅草へ行く一番の目的は六区の映画街にあった浅草東宝へ土曜の夜にオールナイトを観に行くことだった。銀座線田原町駅からのアプローチ。「ぴあ」を忘れずに持参して切符売場で割引料金を払い、入口へと連なるエスカレーターを昇る。かなり年季の入った”明るく楽しい東宝映画”の看板を見ながら場内へ入ると、広い場内の奥に巨大スクリーンが控えていた。上映中に平気で煙草を吸うジジイはいるし、冬は暖を摂りに来るのが目的で映画には目もくれない連中もたくさん。壊れてバネがむき出しになっている席もあるくたびれた椅子はすぐお尻が痛くなるし、色褪せたフィルムも当たり前という劣悪な環境であったにも拘わらず足繁く通ったのは、大きなスクリーンを通じて昭和30~40年代の映画黄金期の残り香を体感したかったからだと思う。当時は映画を観終わってから明け方の六区で牛丼を食して帰り、ちょっと仮眠すれば日曜日も活動出来る若さがあった。

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浅草にはまだいくつかの老舗レコード店が営業

その浅草東宝も姿を消して久しく、さらにその先の向かいにあった「浅草中映」「浅草名画座」などの名画座群も平成24年に閉館してしまい、浅草で映画を観る機会は無くなってしまったが、寄席の「浅草演芸ホール」や、ストリップ劇場「浅草ロック座」は今も営業中。かつての賑わいには及ばないだろうが、久しぶりに歩いてみたらそれなりの活気を取り戻していたのに少し安堵した。雷門通りに戻り、大正元年創業という歴史あるレコード店「音のヨーロー堂」に立ち寄る。相変わらず歌謡曲が充実している。演歌好きでこちらの四代目ご主人・松永さんを知らなければモグリだろう。もと役者さんだそう。浅草にはもう一軒、やはり演歌を主とする「宮田レコード店」が有名で、カセットテープや他店で品切れになったCDを探すのにオススメ。昔はよく中古レコードを漁ったものだった。

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ドラマ「タイガー&ドラゴン」にも出てきた「浅草演芸ホール」

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『若大将シリーズ』に出てくる「田能久」のロケ現場

現在の雷門は昭和35年に再建されたもので、大提灯は平成25年に新調されたばかりとのこと。今日も外国人観光客で賑わっている仲見世通りを歩いて浅草寺の境内へ。一番寺寄りにある人形焼店は仲見世で最も古いお店らしく、浅草生まれの祖父の代からウチでも人形焼といえばたいていここで買っている。一本裏道に入り、「今半別館」の玄関前をカメラに収める。浅草にいくつかの店舗がある老舗すき焼店は同族経営で、中でも粋な佇まいの別館は、加山雄三主演の映画『海の若大将』や『アルプスの若大将』で実家のすき焼店「田能久」としてロケーション撮影に使われた、ファンにとっての聖地である。そもそも麻布に店を構える設定なのだが、古澤憲吾という奇才の監督作品の時だけ浅草になったのはどんな拘りがあったのだろうか。

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観光客で賑わう仲見世通り。渥美清のシングル・レコード「浅草日記」のジャケットと同じ構図で

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キャンディーズのプロマイドを4枚購入

再び仲見世通りを寺を背にして歩き、しばらく行って右折すると、プロマイドの「マルベル堂」がある。最近ではイベントなどの各種コラボレーションも活発で、自費でプロマイドを作ってもらうことも出来る。標準サイズより一回り大きい2Lカラー版のキャンディーズを4枚選んでレジへ持ってゆくと、「キャンディーズは全カットが載っている本も出ていますよ」とお姉さんが親切に教えて下さったが、もちろんその本は持っている。やっぱり現物が欲しいのであります。浅草公会堂前のスターの手形をチェックした後、そろそろ疲れてきたので、ケーキの美味しい喫茶店「アンヂェラス」で一休みしようとしたら、運悪くこの日は定休日であった。サバランとロールケーキを頬張る態勢だったのに・・・。心から満足出来るケーキを食べさせてくれる名店。近々リベンジせねば。

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「花家」の焼きそば

広い国際通りに出て、「ミュージックハウス ヨシダ」がまだ盛業中なのを確認しつつ、田原町に向かって歩く。「ヨシダ」はCD時代になってもしばらく新品アナログレコードの在庫を扱っていた有難い店のひとつで、何度か買いに来たことがあった。こういう街のレコード屋さんが健在なのは本当に嬉しい。田原町駅へ降りる階段のすぐ手前にある、素朴な佇まいの食堂「花家」を今回の散歩の終着点とする。昭和20年創業、今年で70年になるというこちらのメインはお持ち帰りも可能なやきそば350円(大盛りは100円増し)。サイダー、コーラ、ジュースは200円という安さなり。山手方面にはあまり無い店。やきそばとサイダーを注文し、同行のT氏と共に街歩きの疲れを癒した後、銀座線の人となった。

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浅草の鳩ポッポ/こまどり姉妹 (昭和36年)
北海道から上京して浅草で流しをしていたふたり。昭和34年に出されたデビュー曲も「浅草姉妹」だった。浅草寺の鳩は名物・人形焼のデザインにも。豆が欲しいか、そらやるぞ。

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浅草物語/藤島桓夫(昭和36年)
「月の法善寺横丁」でおなじみ。愛称はオブさん。大阪出身だけに西の歌が多いが、東の歌も唄っている。浅草寺で撮影されたジャケット写真には山号“金龍山”の文字が見える。

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あさくさ小唄/山本真由美 (昭和42年)
こちらも浅草寺境内で撮影。「東京かっぽれ」などのお座敷系歌謡や民謡を唄っていた東芝レコードの歌手、山本真由美姐さんが浅草を唄う。B面「幸福ヨン」の“ヨン”がいい感じ。

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浅草の唄/関 敬六(昭和45年)
シミキンこと清水金一主演の映画『浅草の坊ちゃん』の主題歌として昭和22年に藤山一郎が録音した。歌い継いだ関は『男はつらいよ』のポンシュウ役で知られる渥美清の盟友。

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浅草日記/渥美 清(昭和52年)
「男はつらいよ」同様、星野哲郎の作詞によるペーソス溢れる一作。フランス座に在籍した渥美も浅草出身の喜劇人のひとり。「チンガラホケキョーの唄」も浅草が舞台になっている。

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浅草キッド/ビートたけし(昭和62年)
エノケン~渥美~欽ちゃんと連なる浅草の喜劇人の系譜を最後に受け継いだビートたけしが下積み時代を唄った自作のバラード。笑芸人の歌はどうしてこうも物悲しいのだろう。

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東京レコード散歩 記事一覧

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プロフィール

鈴木 啓之

鈴木 啓之(すずき ひろゆき)

アーカイヴァー。昭和40年東京生まれ。テレビ番組制作会社に勤務の後、中古レコード店経営を経て、ライター及びプロデュース業へ。昭和の歌謡曲、テレビ、映画について雑誌などへの寄稿、CDやDVDの監修・解説を主に手がける。著書に『王様のレコード』(愛育社)、『昭和歌謡レコード大全』(白夜書房)など。現在、月刊てりとりぃ誌に「古書とスイーツの日々」を連載。FMおだわら『ラジオ歌謡選抜』にレギュラー出演中。

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