トップページ コラム/レビュー 東京レコード散歩 東京レコード散歩 その⑪ 秋葉原

東京レコード散歩 その⑪ 秋葉原

東京レコード散歩 その⑪ 秋葉原

文/鈴木啓之 (アーカイヴァー) 

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東京の中で最も変貌を遂げたであろう街が秋葉原

秋葉原はこの10数年で街の様相も、訪れる人の種類も、最も変貌を遂げたであろう街のひとつ。実家が須田町の交差点近くで商売を営んでいたこともあって子供の時分から頻繁に訪れていたが、当時は電気街と交通博物館と肉の万世しかなく(実際はそんなことはないけれども)、今ほどの賑わいはまだなかった。

あの頃、電気街の店はどこも正直あまり店員さんの態度が良いとはいえず、中学生の時に駅前の○○無線でラジカセを物色していると、「今日は何? ラジカセ? いくら持ってきたの?」とあまり品性のよろしくなさそうな店員に高圧的に話しかけられて閉口した憶えがある。いくら中坊相手でもそれはないじゃないか。もちろんそんな店ばかりではなく、中でも特に店員さんの応対が丁寧で、安心して買物出来たのが石丸電気(現・エディオン)なのであった。そしてここは素晴らしく在庫の充実したレコード売場を備えていたのだ。

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秋葉原の新名所AKB48劇場

この地を舞台にした歌はAKB48の登場以降、現在の電脳シティと化してからは少なくないものの、昭和ではほとんど見当たらない。よって今回は石丸電気の想い出を中心に綴らせていただく。まずはJR秋葉原駅の電気街口から散歩をスタート。現在のアトレの場所には庶民的なアキハバラデパートがあった。戦後の闇市に始まるマーケットから発展した駅ビルが閉店してもう八年になる。いつも入口で実演販売をやっていたのが懐かしい。昔からある「ラジオ会館」は綺麗なビルに様変わりしながら今も健在。駅の反対側には巨大なヨドバシカメラやAKBカフェがあるが今回はパスして、いわゆる電気街のメインストリートである中央通りに出て少し歩く。家電量販店は統合・吸収など再編の波著しく、長い間あった「世界の照明 ヤマギワ」の看板も失くなって久しい。裏通りだけでなく、今や表通りにもメイドカフェの案内嬢がいっぱい。何度か手入れを受けたJKリフレやJKお散歩の類いの客引きはさすがにいない様だ。

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石丸電気2号館があったビル

AKB劇場が入っているドン・キホーテの少し先まで行き、道路を渡って戻ってくる。大通りから右に曲がり、メイド喫茶が集中する辺りには、かつては石丸電気の本店やヤマギワ(現・ソフマップ)のソフト館、リバティなどのCDショップがたくさんあり、特にヤマギワは廃盤CDの店頭在庫が充実していたので随分と世話になった。買い損ねていたナイアガラの初期のCD(ソニーだけの薄型の折れるケースのもの)などは他店で見かけなくなってからほとんどそこで揃えたと記憶する。それとてもう20年以上前の話。石丸電気は本店でもレコードを扱っていたが、やはり一番よく通ったのは、現在カラオケのパセラの大きなビルが建っているところにあった2号店である。裏通りを抜けて、パセラ前へ。通りの向かいから写真を撮る。撮影した辺りにはレコード専門の3号店があった。狭い間口だが全フロアがレコード売場という素晴らしさ。CDの時代になってからも健在で、ここにも足繁く通った。隣に漢方薬の店があって強烈な匂いを発していたため、3号店の入口手前ではいつも一瞬息を止めていたことを思い出す。

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石丸電気のレコード袋。イラストは和田誠

さて、肝心の2号店。外から見えたエスカレーターは、この辺りの大型家電店では初めて導入されたそうで、「でっかいわぁ~」でお馴染みのCMでも象徴的に紹介されていた。レコード売り場は5Fにあり、エスカレーターを上るとすぐ横がシングル盤のコーナー。そのエリアの一角には瓶のコカ・コーラの自販機があって、さんざんレコードを物色した後によく喉を潤したものだった。シングルもアルバムも大きめのソフトケースに入っており、会計時にレジへ持ってゆくと、バックヤードから新しい盤を出してきてくれる。在庫がなくなると、「こちら最後の一枚になりますがよろしいですか?」と確認された後、店頭に陳列されていた盤を買うことになるのだが、その時はなぜか得した気分になった。LPを買うと必ずポスターをくれて、それも買った盤の歌手に限らず、たくさんの中から選べるという画期的なシステム。買う数が増えるとさらにチョコレートを貰えたり、レポート用紙やレコードケースなどサービス満点で、何より買い物額の一割分のサービス券が付いてくるのが有難かった。ポイントシステムの元祖である。しかもためた券で買物してもまた貰えるので永遠に無くならない。財布の中に常に石丸のサービス券が入っていた方、多くはなかっただろうか。

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昭和の小学生の社会科見学の定番、交通博物館跡地

いろんな事を思い出しながら、旧万世橋警察の角を曲がって再び中央通りを須田町の交差点方向へ。橋からの風景も少し変わり、昔あったという幻の万世橋駅跡にショッピングモールが出来たのはつい最近のこと。通りの向かいに聳える「肉の万世」のビルは、建て替え前はもう少し小ぶりの丸っこい建物だった。一階の売店でオバQソーセージを売っていたことを妙に憶えている。JRのガードを潜ってすぐ右折すると、昔は交通博物館があり、新幹線とSLの車両が迎えてくれたが、今はキレイなオフィスビルが建って往時の面影はない。ついでにそのすぐ近く、実家の喫茶店の入っていたビルもつい先頃解体されてしまった。須田町交差点の一角にあった「万惣フルーツパーラー」も、同じ建物の中華料理「五十番」も、角の喫茶店「東洋」も今はすべて無くなった。何もかもみな懐かしい……。

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幻の万世橋駅跡にできたショッピングモール

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銭形平次/舟木一夫
(昭和41年)
神田明神下に住む岡っ引き・平次の物語。大川橋蔵主演で放映されたフジテレビ版が最も有名で、舟木が歌う主題歌もスタンダード化。“なんだかんだの明神下”のフレーズが強烈。

trs11 エレクトリックパーク

石丸電気の歌/藤本房子、とみたいちろう(昭和50年頃)
三木鶏郎門下の桜井順と伊藤アキラの作。家電量販店のCMソング集『エレクトリックパーク』などで聴ける。3代目まである由。アルバムにはオノデンやサトームセンの歌も収録。

trs11 メイディング ストーリー

メイディングストーリー/完全メイド宣言(平成17年)
秋葉原のメイドカフェ“@ほぉ~むカフェ”在籍の現役メイド11名で結成されたユニット。“萌え~”はこの年の流行語になった。カップリングは「お帰りなさいませ!ご主人様っ」。

trs11 桜の花びらたち

桜の花びらたち/AKB48(平成18年)
総合プロデューサー・秋元康の下、7924名から選ばれた20名で結成されたAKB48のデビュー曲。会いに行けるアイドルは、当初“アキバ フォーティーエイト”と呼ばれていた。

trs11 アキバ名物萌え萌え音頭

アキバ名物 萌え萌え音頭/松本香苗(平成21年)
スキップカウズのメンバーが作詞・作曲。音頭といえども、エレキの効いたポップチューン。萌えボイスの彼女は「雨の秋葉原(アキバ)の物語」というムード歌謡風の曲も出している。

 

trs11 バイトファイター

バイトファイター/バクステ外神田一丁目(平成25年)
アイドル育成型エンターテイメントカフェ「AKIHABARAバックステージpass」で働きながら活動するグループのメジャーデビュー曲。選抜メンバーは来店客の投票によって決まる。

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東京レコード散歩 記事一覧

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プロフィール

鈴木 啓之

鈴木 啓之(すずき ひろゆき)

アーカイヴァー。昭和40年東京生まれ。テレビ番組制作会社に勤務の後、中古レコード店経営を経て、ライター及びプロデュース業へ。昭和の歌謡曲、テレビ、映画について雑誌などへの寄稿、CDやDVDの監修・解説を主に手がける。著書に『王様のレコード』(愛育社)、『昭和歌謡レコード大全』(白夜書房)など。現在、月刊てりとりぃ誌に「古書とスイーツの日々」を連載。FMおだわら『ラジオ歌謡選抜』にレギュラー出演中。

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