トップページ コラム/レビュー 東京レコード散歩 東京レコード散歩 その⑮ 東京タワー

東京レコード散歩 その⑮ 東京タワー

東京レコード散歩 その⑮ 東京タワー

文/鈴木 啓之 (アーカイヴァー) 

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1958年(昭和33年) オープン、高さは333m。永遠のランドマーク

今回の散歩はピンポイントで、東京のランドマークである東京タワーを訪ねることにした。高さが倍近くもあるスカイツリーが出来ようとも、東京タワーの偉容は揺るぎない。正式名称は“日本電波塔”。麓へ向けてなだらかな弧を描くあの美しいフォルムはいつ見ても惚れ惚れする。東京タワーとスカイツリーなら、自分は断然東京タワー派なのだ。

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正式名称は日本電波塔

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ノッポンがお出迎え

電車でのアクセスは様々なアプローチがあるが、今日は東京メトロ日比谷線の神谷町駅から飯倉の交差点経由で向かう。バブルの頃、そこから程近い麻布台のビルが仕事場だった時代があった。霊友会の横の雁木坂の急な階段を当時は軽々と昇ったものだが、今なら途中で休憩しなければ坂の上までたどり着けないだろう。タワーへの道は交差点の逆側。六本木方面を背にして歩くとすぐ目の前に聳え立っている。近寄る程に迫力は増し、大きな建造物の存在感に圧倒される。訪れたのは、一昨年の秋、藤子・F・不二雄展を観に来て以来なので、一年半ぶりになる。今は3・4階のフロアが「ワンピース」のアトラクションになっていた。

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多くの映画でロケされた東京タワー。窓からはビルが絶えない大都会、東京が一望できる

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平日でも外国人観光客率が高い大展望台

初めて東京タワーへ行ったのは昭和46年だったと思う。両親が商売で忙しかったため、叔母に連れていってもらった。一昨年ついに閉館してしまった蝋人形館にも入ったらしいが、殆ど記憶がない。本日も同行してくれているT氏はやはり同じ頃に訪れて、三島由紀夫の蝋人形にトラウマを覚えたとのこと。幼い時の記憶がちゃんとある人は尊敬に値する。私は幼稚園時代の記憶など殆ど無いに等しいというのに…。その次に訪れたのは高校生の頃。以降もタワーの麓には何度か行っているが、展望台まで上ったのは高校の時が最後だったと思う。今回30年以上ぶりに高速エレベーターに乗り込んで大展望台を目指す。150メートルの大展望台までは900円、250メートルの特別展望台まででも1600円とまずまずリーズナブルなお値段。スカイツリーは料金が高すぎるのもいただけない。海ほたるの様に断固値下げを敢行すべきだろう。平日ということもあってさほど並ぶこともなくエレベーターに乗ると、僅か45秒ほどで大展望台に到着した。

「ここは『鬼畜』にも出てくるんですよ」と、新旧の映画をよく観ているT氏が教えてくれる。緒形拳演ずる主人公が幼い娘をわざと置き去りにする悲しいシーンだそう。自分が東京タワー関連の映画で思い出すのはザ・ピーナッツが出演した怪獣映画『モスラ』、そしてなんといっても『南太平洋の若大将』だ。ハワイから日本にやって来た日系人家族を若大将一家が案内するのだが、親子三代それぞれが男女ペアになっていい感じで観光していると、この展望台で偶然鉢合わせしてしまって気まずくなるというシーン。ヒロイン・澄ちゃん(星由里子)の恋仇となる若大将のこの時のパートナーはスタイル抜群の前田美波里だった(資生堂ビューティーケイク!)。辺りの様子は当時と殆ど変わらないが、変わったのは望遠鏡が無くなったのと、カフェが出来てちょっとオシャレになっていたこと。そして何より変貌を遂げたのはガラス越しに眺望する景色であろう。いつの間にか高層ビルがぐんと増えた。昔は霞ヶ関ビルと新宿副都心のビル群、少し遅れての池袋サンシャイン位だったのに、今はどこまでいってもビルが絶えない。東京の大都市ぶりを今さらながら実感させられた次第。

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歴史を感じさせる店名が並ぶ2階のお土産屋通り

DSCN1481DSCN1487さて、今回一番訪れたかった場所は展望台ではなく、土産もの売場なのだった。3階にもオフィシャルショップがあるが、古くからの商店が軒を連ねる2階の一角は最も往時の面影を遺しており、昭和な雰囲気が漂っている。屋号も「ふじ」「タワア商会」「紅葉屋 「タワー冨士」など、歴史を感じさせる名前ばかり。その中の一件で、タワー創業時から店を構える「東竜堂」の女性オーナーに話を聞く。周りの店が2代目に受け継がれてゆく中で、そのはもう56年以上も同じ場所に居続けて店を守っているそうで、開業当時のことを少し話して下さった。昔は絵はがきやスライドが売れ線の商品であった由。昔のペナントは今やタペストリーにその役目を譲ったなど。話している横で外国人の観光客が浮世絵の小物を買っているのが愉しい。他の店も覗き、タワーの置物を買って帰ろうと物色すると、どれもが特別展望台の上に円筒形のデジタルアンテナがついてからの代物で、つまりは2003年以降に作られたものであることが判る。その中でアンテナ装着前の昭和の東京タワーの形のものをひとつだけ見つけ、迷わずそれを購入。明らかに昭和の売れ残りのキーホルダーや小物を格安で売っている店もあった。

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東京の観光名所といえば東京タワー。はとバスでどうぞ。

ダメもとで音盤は売っていないものかと探すも見当たらない。念のため「CDとか音の出るお土産はありませんか?」と聞いてみると、「3階のオフィシャルショップで聞いてみて下さい」とのこと。一縷の望みを抱きつつ売場へ行ってみると、果たしてその片隅に東京タワーの公認キャラクター「ノッポンのうた」のCDが置かれていた。復刻版らしきタワーキャラメルも買い、先程のタワーの置物と共に本日の収穫物とする。これで一応レコード散歩の恰好がついた。

一階に降り、入口にたなびく333匹の鯉のぼりを見ながら裏手に廻る。かつて東京12チャンネル(現・テレビ東京)の社屋だったスタジオの建物は健在。今は“東京タワーメディアセンター”になっている。ビルの壁はテレ東移転後の“芝公園スタジオ”のまま。天王洲スタジオが出来るまでは『なんでも鑑定団』や『アド街ック天国』もここで収録していたし、12チャンネル時代には『ヤンヤン歌うスタジオ』のオープニングなどでいつもここのエントランスが映っていたのが懐かしい。どこへ行ってもつい昭和遺産を探してしまう好事家にとって、東京タワーは極めつけの聖地なのでありました。

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『ヤンヤン歌うスタジオ』でおなじみの東京12チャンネル社屋正面

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テレビ塔音頭/山下敬二郎、朝丘雪路(昭和33年)
東京タワーという愛称が決まったのは10月らしいので、その前に作られたか、あるいは規制があったのか“テレビ塔”推し。原六朗作詞・作曲のB面「テレビ塔の見える道」もいい。

trs15 たそがれのテレビ塔

たそがれのテレビ塔/フランク永井(昭和33年)
「有楽町で逢いましょう」のヒット以降、フランク永井のナンバーには東京の名所が歌われたものが多い。東京タワーも開業時に逸早く歌われた。ここでも東京タワーの名称は未使用。

trs15 東京333米

東京333米/ミラクル・ヴォイス(昭和33年)
実に粋なタイトル。“東京タワー”が歌詞に織り込まれた最初の曲ではないだろうか。しかも3番の歌詞には、パリのエッフェル塔まで登場する。覆面歌手の正体は青山ヨシオだった。

trs15 東京タワー 美空ひばり

東京タワー/美空ひばり(昭和34年)
お嬢・ひばりも、開塔の翌年にそのものズバリのタワー讃歌を歌っていた。作詞・野村俊夫、作曲・船村徹による、明るくモダンなナンバーである。SP盤時代、極めて末期の発売。

trs15 ブルー・ナイト・トウキョウ

ブルー・ナイト・トウキョウ/フォー・コインズ(昭和34年)
作曲家・三沢郷が在籍したコーラスグループが東京の夜を煌びやかに歌う。これも作曲は船村徹。制作担当に小説「艶歌の竜」のモデルとなった馬渕玄三の名がクレジットされている。

trs15 夜霧のテレビ塔

夜霧のテレビ塔/原田信夫(昭和35年)
60年安保を象徴する西田佐知子「アカシアの雨がやむとき」のB面に配されたムード歌謡。原田は後にザ・キャラクターズを結成し、44年には「港町シャンソン」をヒットさせた。

trs15 インファントの娘

インファントの娘/ザ・ピーナッツ(昭和36年)
或る程度の年代であれば、東京タワーでモスラが繭を作る有名な場面を知っているはず。映画に小美人役で出演したザ・ピーナッツがゆったりと歌う。育ての親・宮川泰の編曲。

trs15 東京

東京
(昭和42年頃)
約50年前にはタワーのお土産売り場でもきっと売られていたに違いないピクチャーレコード。内容は音による東京案内。片面には「お江戸日本橋」と「東京五輪音頭」が収められた。

 

trs15 哀愁の東京タワー

哀愁の東京タワー/遠藤賢司(昭和54年)
アルバム『東京ワッショイ』からのシングル・カットで「続東京ワッショイ」のB面。富士山、新幹線、サンシャイン60などがコラージュされたジャケットのデザインは横尾忠則。

trs15 手のひらの東京タワー

手のひらの東京タワー/松任谷由実(昭和56年)
アルバム『昨晩お会いしましょう』所収。同盤には神戸ポートタワーが歌われた「タワー・サイド・メモリー」も。提供された石川セリはアルバム『星くずの街で』で歌っている。

trs15 東京タワーの歌

東京タワーの歌/寒空はだか(平成9年)
映画や音楽にも造詣が深いスタンダップコメディアンによる、知る人ぞ知るナンバー。歌詞には京都タワーや横浜マリンタワーも登場する。「スカイツリー音頭」も歌う“両塔づかい”。

trs15 ノッポンのうた

ノッポンのうた/長谷川うらん(平成26年)
開業40周年(平成10年)の際に誕生したイメージキャラクターの歌。55周年記念式典で発表され、半年後に限定500枚のCDとして発売になった。「ノッポン音頭」は配信のみ。

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東京レコード散歩 記事一覧

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プロフィール

鈴木 啓之

鈴木 啓之(すずき ひろゆき)

アーカイヴァー。昭和40年東京生まれ。テレビ番組制作会社に勤務の後、中古レコード店経営を経て、ライター及びプロデュース業へ。昭和の歌謡曲、テレビ、映画について雑誌などへの寄稿、CDやDVDの監修・解説を主に手がける。著書に『王様のレコード』(愛育社)、『昭和歌謡レコード大全』(白夜書房)など。現在、月刊てりとりぃ誌に「古書とスイーツの日々」を連載。FMおだわら『ラジオ歌謡選抜』にレギュラー出演中。

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