トップページ コラム/レビュー 東京レコード散歩 東京レコード散歩 その⑰ 両国

東京レコード散歩 その⑰ 両国

東京レコード散歩 その⑰ 両国

文/鈴木 啓之 (アーカイヴァー) 

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伝統と技術が融合した相撲の殿堂。1985年開館。ときたまライブ会場にもなる

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目に鮮やかなカラフルな幟

地元在住の案内人という強い味方を得ての城東地区篇、今回は錦糸町から総武線で隣駅の両国へ移動してスタート。ホームから改札へ向かうと、さすがは相撲の街、駅構内に歴代横綱の大きなパネルがいくつも掲げられている。目の前には江戸東京博物館の大きな建物が聳えているが今回はスルーして隣接する国技館の方へ。やたら人が多いと思ったら、この日は正に五月場所の真っ最中だったのだ。何の思惑もなく訪ねたのだが、タイムリーなのであった。ちょうどこれから幕内の取組が始まる時間とあって、両国国技館の前はなかなかの賑わいで外国人の姿も目立つ。入口の辺りでお相撲さん二人とすれ違ったがさすがにデカかった。頼り甲斐がありそうで、若い女性ファンが多いのも解る気がする。力士の名が書かれたカラフルな幟がズラリと並ぶ絢爛な風景は、東京ではここでしか見られない。

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鼠小僧の墓を削って財布に入れておくと金持ちになる言う伝説あり

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鼠小僧の墓の近くで昼寝する猫

家が近い女性プロデューサーHさんの案内で、鼠小僧の墓があるという回向院を訪ねる。門前の案内板には、以前はここの境内に国技館があったこと、そして昭和30年代からは日大講堂として数々の催しが行なわれたことが記されていた。歌謡曲やフォークのコンサートも随分とあった様だが、57年に解体されて役目を終えたとのこと。境内を歩いてゆくと、鼠小僧次郎吉の墓に行き当たる。すぐ横の石の上で猫が気持ちよさそうに寝ていた。やっぱり鼠が好きなのか? 小説や映画の題材としてあまりに有名な鼠小僧は実在の人物ながら、義賊であったという点はどうやら真実ではないらしい。テレビドラマで憶えている「女ねずみ小僧」は小川真由美が演じ、パートナー役の田中邦衛がいい味を出していた。次郎吉の娘か孫娘にあたるという設定は、「怪盗ルパン」と「ルパン三世」の関係を想わせる。そういえばアニメ版「ルパン三世」にも、四代目鼠小僧次郎吉が出てくる回があった。

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関東大震災の遺品が生々しい横網町公園

寺を出て駅周辺を歩く。昔から馴染みのある街ではないため、かつてあったレコード屋さんなどの情報に乏しく、跡地巡りが出来ないのは残念。しかしながら、旧安田庭園や複数の文化人生誕の地など、相撲以外にも見どころは多い。区を挙げて街歩きを推奨しており、「すみだまち歩き博覧会」と称する、沢山のコース別パンフレットが通りすがりの案内所に設置されていた。中で最も興味深かった“世界の絵師、葛飾北斎の生まれをたどろう”という「コース12」のパンフを開いてみる。約75分、3.7kmに渡る北斎ゆかりの地を廻るプランは浮世絵好きにはかなり魅力的である。後日、江戸博と併せて改めて訪れることにしようと思った。同行してくれているT氏の薦めで訪れた横網町公園は、東京都慰霊堂と復興記念館を要する施設で、どことなく粛然たる空気が漂う。関東大震災の折に火災で熔けた鉄の塊が外にも展示されていて猛炎の恐ろしさを物語っていた。ふやけていた気持ちがいっぺんに引き締まる。こんな時ばかりではいけないのだが・・・。

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ドラマ『マンハッタンラブストーリー』の舞台だった喫茶店「マンハッタン」跡地

気を取り直して移動する。清澄通りから左折して京葉道路を千葉方面へ。これもT氏の発案で、宮藤官九郎脚本のドラマ『マンハッタンラブストーリー』の主要な舞台となっていた喫茶店「マンハッタン」の場所を探そうということになった。ロケ地探訪には自分も目がないので張り切って歩く。か細い情報を頼りにそれらしき付近を歩き回った結果、最後は並びのクリーニング店が決め手となって遂に跡地にたどり着いた。今はマンションが建ってすっかり様相が変わっていたが、周りの建物と照合しても間違いなし。歓喜の叫びを上げながら写真を撮った。店内はもちろんセットだったものの、店先でのやりとりなど外観もかなり使われていた。そこから望む川向こうの風景にも見覚えがある。2003年の放映時には見逃していたドラマだったが、一昨年『あまちゃん』にハマった時、だったら見ておいた方がいいとT氏に薦められてDVDを借りたところ、面白くて一気に見てしまった。主人公の松岡昌宏が喫茶店のマスターという設定も、実家の喫茶店でマスター経験がある自分にとって他人事ではなかったし、尾美としのりがタクシー運転手でその同僚に小泉今日子などと、あまちゃんへの伏線が潜んでいるのも楽しい。『あまちゃん』ファンには絶対にお薦めの作品だ。

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創業80年の老舗中の老舗レコード店「交楽堂」

頭の中でTOKIOの「ラブラブ♡マンハッタン」がループする中、最後はやはり現役のレコード店へ行かねばと、検索でヒットした蔵前橋通り沿いの「交楽堂」を目指す。ここでPTAの会合に出るべく、Hさんが離脱。錦糸町篇に続いてお疲れさまでした。無事到着した交楽堂はなんとオープンが昭和10年、つまり創業80年に及ぶそうで、前回訪ねた錦糸町のセキネ楽器店よりさらに老舗というから驚く。さすがにレコードの在庫こそ見当たらないものの、既に廃盤になっていると思われるCDが多数並んでいる。その中から石原裕次郎のアルバムを一枚ピックアップしてレジにいる女将さんに話を聴くと、やはりもともとは楽器販売がメインだった由。森下の「前田楽器店」や亀戸の「天盛堂」など、この辺りの老舗レコード店はみな親戚筋だという興味深い話を伺うことが出来た。今や数少ない貴重な街のレコード屋さんのひとつ。これからもずっと営業を続けていただきたい。駅に戻り、帰りの電車に乗ってから、和菓子の「大川屋」に寄るのを忘れていたことを思い出す。鳥の形をした可愛い“隅田川最中”を買い逃したのは些か残念だが、次回の楽しみにとっておくとしよう。

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昭和4年建築の素晴らしい洋風建築の両国駅駅舎

trs17+相撲甚句

相撲甚句/森ノ里(昭和38年)
享保年間に江戸の巷で流行った「甚句」が歌い継がれてきたもの。力士が土俵で歌う場合は花相撲か地方巡業のアトラクションに限られるという。評論家・小島貞二先生の解説入り。

trs17+相撲ブルース

相撲ブルース/春日井梅光(昭和49年)
浪曲師・春日井梅鴬の弟子で、日本浪曲協会の副会長も務めた春日井梅光が歌うせつない歌謡ブルース。A面の「綱」には途中で浪曲が導入される。浪曲と相撲と浮世絵は相性がいい。

trs17+急げ風のように

急げ風のように/平田隆夫&セルスターズ(昭和47年)
小川真由美と田中邦衛の名コンビぶりが懐かしい異色ドラマ『浮世絵女ねずみ小僧』主題歌。「ハチのムサシは死んだのさ」のセルスターズが歌う。時代劇の歌らしからぬグルーヴ感。

trs17+両国橋(松平純子)

両国橋/松平純子(昭和50年)
喜多條忠作詞、吉田拓郎作曲によるフォーク歌謡の隠れた傑作。松平は東映の女優だった。隅田川にかかる橋の名は、西側が武蔵国、東側が下総国に跨っていたことに由来するという。

trs17+両国橋(由紀さおり)

両国橋/由紀さおり(昭和56年)
結婚して引退した松平純子の歌を歌い継いだのは、我らがさおりお姉さま。オリジナルの村岡健アレンジのファンキーさに対し、馬飼野康二のアレンジでより大人っぽい仕上がりに。

trs17+ラブラブ・マンハッタン

ラブラブ♡マンハッタン/TOKIO(平成15年)
宮藤官九郎のドラマ『マンハッタンラブストーリー』は、主演が松岡昌宏だったことから、TOKIOが主題歌を歌った。作詞はクドカン、作曲もグループ魂の富澤タクが担当している。

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東京レコード散歩 記事一覧

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プロフィール

鈴木 啓之

鈴木 啓之(すずき ひろゆき)

アーカイヴァー。昭和40年東京生まれ。テレビ番組制作会社に勤務の後、中古レコード店経営を経て、ライター及びプロデュース業へ。昭和の歌謡曲、テレビ、映画について雑誌などへの寄稿、CDやDVDの監修・解説を主に手がける。著書に『王様のレコード』(愛育社)、『昭和歌謡レコード大全』(白夜書房)など。現在、月刊てりとりぃ誌に「古書とスイーツの日々」を連載。FMおだわら『ラジオ歌謡選抜』にレギュラー出演中。

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