トップページ 特集 歌謡曲の若き歌姫、伊藤美裕

歌謡曲の若き歌姫、伊藤美裕

歌謡曲リミテッド スペシャルインタビュー

歌謡曲の若き歌姫、伊藤美裕

(ページ: 1 / 2)

取材・文/竹部吉晃 公開日:2013.04.12

コロムビア創立100周年記念歌謡曲アーティストとして2011年4月にシングル「六本木星屑(スターダスト)」でデビューした伊藤美裕。今年3年目を迎える歌謡曲の歌姫、若きホープとして期待される彼女に話を聞いた。「歌謡曲は“はやりうた”、時代を反映する、今の時代に必要とされる、21世紀の歌謡曲を歌っていきたい」というメッセージを託した、松井五郎作詞、末光篤作曲による爽やかな新曲「あなたの花になりたい」を今年2月にリリースしたばかり。ラブソングについてはもちろん、歌謡曲への思いや考え、これからの目標などについて全方位的に語ってもらった。

--まずは伊藤さんの音楽プロフィールからお聞きしたいのですが。幼少の頃はクラシック音楽に親しんでいたそうですね。

伊藤:子どもの頃から親の影響でクラシックをよく聴いていました。5歳のときにバイオリンを習いはじめたので、私の基礎にはクラシック音楽があります。でも小学生になると、テレビの歌番組を見てヒット曲を知るようになり、クラスメイトの間でもJ-POPが話題になって、興味をもちはじめて、中学になると今度はカラオケでそれらの曲を歌うようになりました。高校ではバンドを組んだりもしました。大学に入ってからはアカペラサークルに入って、かじる程度ですがジャズに興味をもつようになって、その後に歌謡曲と出会うんです。アカペラサークルの練習曲で美空ひばりさんの「真っ赤な太陽」を歌ったんです。それまでも親の影響で昔の日本の曲、例えば中島みゆきさんの曲などは知っていたんですが、美空ひばりさんの「真っ赤な太陽」を歌ったことで俄然、歌謡曲に興味を持つようになっていったんです。自分にとって、いちばん最近知った古い曲がとても新鮮に聞こえたんです。

--最初に触れた昭和の歌謡曲が「真っ赤な太陽」とは……。どんなところが魅力だったのですか。

伊藤:口をついてメロディが出る、そんな歌いやすいところがいいなって思ったんです。

--この世界に入る際に、大規模なオーディションを受けて合格されています。そのときはどんな曲を歌ったのでしょうか。

伊藤:予選はEGO-WRAPPINの「くちばしにチェリー」、決勝で小林明子さんの「恋におちて」を歌いました。

--それはまた難しい曲を歌われたんですね。

伊藤:「くちばしにチェリー」はアカペラで歌っていた曲でした。衣装や髪型も曲に合わせて替えて、「くちばしにチェリー」では髪型をマッシュルームみたいにして、決勝ではしっとりした歌なのでカービーな感じにました。自分でできるところはちゃんと演出しようと思い、いろいろ考えて臨みました。

--そういうところも審査の対象になったんですかね。

伊藤:審査員の方がわたしの可能性を見出してくれたんだと思います。

--オーディションを受けたときの気持ちについてはいかがですか。多くの応募者の中で優勝されたわけですが。

伊藤:わたしはプロの方に一切歌を習ったことがない、完全な素人だったんです。でも、受かるのも落ちるのも確率としては二つにひとつ、二分の一だと思ってオーディションを受けたんです。応募者はたくさんいましたが、オーディションは自分との戦いで、自分の気持ちしだいだと割り切っていました。

--今振り返ると、これは決まっていた道だと思いますか。

伊藤:その少し前に、オーディションを受けるきっかけがあったんです。私は京都にある大学に通っていたんですが、ある日通学のバスを待っていたときに「自分はプロの歌手になる」と急に思い立ったんです。それまで自分は歌を歌うことは好きだけど、プロの歌手になるなんていう大それたことは一切考えたことはなかったんです。一か月前には就職の内定をもらっていました。でも、単純なわたしは急に出てきた「歌手になる」という直観に正直に反応して歌手になるためのオーディションを受けることにしたんです。

--アーティストは直感が大切といいますよね。それにしても面白いエピソードですね。

伊藤:就職が決まって心がフラットになっていた時期だったから、本当にやりたいことが出てきたのかなって思いますね。

--歌手の方は一度人前で歌うとその醍醐味が忘れられなくなると言いますよね。

伊藤:そうですね。やはり、みなさんの前で歌うのは楽しいです。とくにお客さんの顔の表情を見るのが好きなんです。大きなホールで歌うとき、CDショップの店頭で歌うとき、規模は全然違うのですが、人前で歌うということに関しては変わらないので、それぞれの楽しみがありますね。

--伊藤さんはステージに上がる前に緊張したり、あがったりすることはないんですか。

伊藤:そういう意味では冷静だと思います。ステージの上からいろいろな人の顔が見えますし。この人、大きく口を空けて見ているなとか……。すごく気になりますね(笑)。

--ステージを降りてもファンの方や関係者の方と接する機会が多いでしょうから、いろいろな人の表情が見えるんでしょうね。

伊藤:今はラジオのパーソナリティもやっているので、番組宛にいろんな人からメールやお葉書をいただくんです。いつも熱心に積極的なメールを送ってくれる人が実はすごくシャイな性格だったり(笑)。そういう面白い発見があります。わたしは元々人間が好きなんです。大学ではメディアについて学んでいて、将来は報道の仕事に就きたいと思っていたくらいなので。そういう意味でも歌手はいいお仕事だなと思います。

--大きなオーディションに合格して、2年前にプロとして日本コロムビアからデビューしたときの感想はいかがでしたか。大きなキャンペーンもありましたし、プレッシャーも相当なものではなかったかと思うのですが。

伊藤:デビュー曲に「六本木星屑(スターダスト)」【PV視聴】という曲をいただいたとき、とても嬉しかったことを覚えています。デビューに際して、レコード会社からいろいろ冠やキャッチフレーズをいただき、とても光栄に思ったのですが、それら一つひとつに気持ちが動揺したり、緊張してしまってはちゃんと歌を歌うことができないと思って、なるべく平常心で自分が今できることを一生懸命やろうという気持ちでいました。

--そしてその年のレコード大賞の新人賞を受賞されました。まさにシンデレラストーリーですよね。

伊藤:信じる力や思いというのはちゃんと形になるということを感じました。だからこそ、なりたい自分を明確に持ちたいというのは、今すごく思いますね。

--それ以降「why?~真夜中の予感~」【PV視聴】「北国行き11:50」【PV視聴】というシングルを出されて順調にキャリアを積み重ねています。ご自身ではいかがですか。

伊藤:そうですね。いろいろタイプの違う曲と出会って、自分も成長しているのではないかと思います。

--それにしても、昭和を体験していない人が昭和の時代に流れていた歌謡曲のエッセンスのある曲を歌うと言うのは面白いですね。

伊藤:ある意味、自分で演じながら歌っているということだと思います。「六本木星屑」は80年代バブル時代のようすを歌った内容ですが、私はその時代のことは生まれていないので全然知りませんし……。

--あの時代の六本木の街はとても華やかだったんですよ。週末は通りでタクシーを止めるのも一苦労でした。

伊藤:そうなんですね。今でもわたしにとって六本木は異国な感じはしますが、あの時代はもっと活気があったんでしょうね。すごく憧れます。その時代を体験してみたかったです。

--そんなにいいものではなかった気もするんですが(笑)、体験していないからこその憧れがあるんでしょうね。

伊藤:わたしが定期的にやっているライブ「ミユゼミ」では、歌以外にもそういう昭和の時代背景についても勉強していて、当時の歌を通して時代を追体験している感じがあります。

--その「ミユゼミ」はどういうライブなのですか。

伊藤:「ミユゼミ」の「ゼミ」はゼミナールの「ゼミ」です。歌謡曲の中のひとつのテーマを設けてライブの企画を考えて、それに沿って曲を並べて、MCをしてというかたちの講義形式でライブを行っているんです。

--伊藤先生なんですね。

伊藤:でも逆に教えてもらうことも多くて(笑)、とても勉強になります。1回目が昭和歌謡、2回目がアイドル、3回目がCMソング。そして先日東京でやったのがフォークソングです。みなさんご存じの名曲はもちろんなんですが、すごくコアな曲も取り上げています。最近のフォークソングの回では、1969年から76年までの曲だけを選曲しました。学生運動が激しかった時代に流れていた曲、若い人が歌で世の中を変えることができると本気で思っていた時代の曲を取り上げたんです。具体的には、中津川フォークジャンボリーでフォーク歌手のみなさんが歌われていた曲をカバーしたんです。加川良さんの「教訓Ⅰ」とか。当然、当時のことはまったく知らないんですが、勉強するうちに、好きになっていって、あとは高田渡さんもカッコいいなって。「自転車に乗って」という曲が好きです。

(次ページへ続く)

PREV

ページ: 1 / 2

NEXT

伊藤美裕 Special Playlist
今こそあたらしい歌謡曲
~私に歌うヒントをくれる曲たち~

伊藤美裕

大阪出身の25歳。2009年に「輝け!歌謡曲~歌姫を探せオーディション~」でグランプリを受賞し、2011年4月、「コロムビア創立100周年記念歌謡曲アーティスト」として「六本木星屑(スターダスト)」でデビューを果たす。その際のキャッチフレーズは「歌謡曲の歌姫〜100年の眠りから目覚める〜」。同年のレコード大賞では新人賞を受賞。これまで「why?~真夜中の予感~」「北国行き11:50」「あなたの花になりたい」の4枚のシングルをリリースしている。

「あなたの花になりたい」特設サイト:
http://columbia.jp/itomiyu/

公式ブログ「MIYU LABO」:
http://ameblo.jp/miyu-ito/

日本コロムビア 公式サイト:
http://columbia.jp/artist-info/itomiyu/

NEXT歌謡フェス 懐かしむだけのものじゃないー新しい歌謡曲の魅力を発信する次世代への歌謡フェス、記念すべき第1弾が2017年3月25日(土)に新宿LOFTにて開催!

『東京レコード散歩』2017年2月22日発売。東京にちなんだ曲だけを収録したコンピレーション・アルバム『東京レコード散歩』第二弾がレコード会社3社から同時発売!

原田真二 提携グッズサイト『Feel Happy』音楽制作、ライブ活動、チャリティ事業を積極的に行い、2017年にはデビュー40周年を迎える原田真二との提携グッズサイトが「Feel Happy」。魅力的なオリジナル・グッズを提供していきます。

岩崎宏美 ONLINE SHOP 昭和51年1月に発売された『近代映画ハロー新春号 岩崎宏美 集』の全ページに、平成28年最新インタビューを追加した、特別復刻プレミア豪華版。

大場久美子 DELUXE BOOK トップアイドル時代の大場久美子の『近代映画』記事、グラビアを復刻!

FMおだわら(78.7MHz)第1、3火曜25:00~25:30、同週の木曜21:00~21:30<再>

モナオ(旧芸名 唐沢亮) 大人の皆さん、これがムード歌謡のNEWスタンダードです。『たぶん新宿』 唄:モナオとマシュー

ラジオ歌謡選抜

TWITTER

  • now loading...

disk union 昭和歌謡館