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なかの綾 現役ホステスが紡ぎ出す、子供禁制サウンド あの名曲をダンスフロア対応のラテンアレンジで!

歌謡曲リミテッド スペシャルインタビュー

なかの綾
現役ホステスが紡ぎ出す、子供禁制サウンド
あの名曲をダンスフロア対応のラテンアレンジで!

インタビュー・文/中林直樹 公開日:2013.09.06

斬新なアレンジをバックに歌謡曲や演歌を歌う、なかの綾。7月に発売されたメジャーデビューミニアルバム『へたなうそ』が、今、多くのリスナーから驚きを持って受け入れられている。時に伸びやかで明瞭、時に力強く厚い彼女の声が、名曲(迷曲含)たちを見事にアップデートしているからだ。インタビューは、彼女のユーモアがあって、機転の利いた会話(さすが、現役ホステス!)によって爆笑に継ぐ爆笑。では、お楽しみあれ。

--先日、伝統あるあの「NHK歌謡コンサート」に出演されたんですよね。ゴールデンタイムの生放送、しかも出演者は演歌や歌謡曲の大御所ばかり。いかがでしたか。

なかの綾:声にヴィブラートがかかったんですけど、それは緊張して震えているからです(笑)。「NHK歌謡コンサート」は生バンドなんですけど、演奏のクオリティが高くて、まるでカラオケを聴いているのかな、と思ったぐらいでした。ホールの音も良くて、緊張はしていたけど、気持ちよく歌えました。

--なかのさんは18歳から京都・祇園の会員制クラブで歌手として働きはじめたんですよね。そこはいったいどんなお店なのか興味があるんですが。

なかの綾:「慕情」といったシネマミュージックやデューク・エリントンなどのジャズをバンドが演奏するお店でした。お客さまは団塊の世代の方がメインでした。そこで、一時間に一回、2曲だけ歌わせてもらっていたんです。

--どんな曲を?

なかの綾:弘田三枝子さんの曲が多かったかな。お客さまとデュエットで「北空港」を歌ったりもしていました。

--そのころから歌謡曲に傾倒していたんですね。でも、当然、同世代には、それほどまでの歌謡曲好きはいなかったわけですよね。

なかの綾:全くいませんでした。

--歌謡曲を歌ってみようと思ったきっかけはなんですか。

なかの綾:親が歌謡曲好きでした。『歌謡曲大全集』という10枚組CDが何種類も家にあって。それと、実家の近所に某有名演歌歌手のご実家があるんです。その演歌歌手の甥っ子と同級生(笑)。そんなこともあってか、地元のみなさんはカラオケスナックで歌うことが好きなようです。

--なるほど。お年寄りから子供まで、幅広い世代が一緒になって楽しめるというのが、歌謡曲の魅力のひとつかもしれませんね。

なかの綾:私も親に連れられて、子供の頃からよく行っていました。

へたなうそ / なかの綾

『へたなうそ』
なかの綾

2013年7月24日発売

UMCK-1454 / ¥2,000(税込)
ユニバーサル・シグマ

【収録曲】
01. ラブ・イズ・オーヴァー
02. 私はピアノ
03. つぐない
04. ホテル
05. すずめの涙
06. 誰より好きなのに
07. 恋におちて – Fall in Love -

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--その意味でもなかのさんの試み、過去の歌謡曲や演歌の名曲たちを現代的なアレンジで歌い、その良さを若い世代につなげてゆくことは、興味深いチャレンジだと思います。

なかの綾:そうですね。演歌をクラブで聴くって、面白いですよね(笑)。

--でも、結論めいたことを言うならば、歌って結局、ジャンルに関係なく、人々の間に歌い継がれてこそだと思うんですよね。それが本質というか。なかのさんの作品を聞くと、そんなことをはっと気づかされるんです。

なかの綾:嬉しいです。本当は元々洋楽かぶれだったので、歌謡曲や演歌に対して斜に構えて見ていることが多かったんです。だけど、この企画に参加してみて、きちんと接すると、歌詞や曲の良さって、本当に世代を超えるものなんだ、と実感するようになりました。

--なかのさんの作品の大きな特徴のひとつは、アレンジの面白さです。演歌や歌謡曲をブーカルーやマンボ、さらにはクンビアまで、ラテン風味に味付けされていることです。なかのさんの頭の中には、初めからこのようなイメージがあったんですか。

なかの綾:全くありませんでした。最初は洋楽を歌ってデビューしたいと思っていたぐらいですから。だけど、プロデューサーのはせはじむさんに「おまの声は昭和歌謡向きだ!」と断言されて。それで参考音源を聴かされたんです。内山田洋とクール・ファイブの「そして神戸」でした。前川清さんの歌を聴いてびっくりしたんです。「なんだ、このジェームス・ブラウンは!」って(笑)。ソウルやゴスペルを歌いたかったから「これなら私にもできるかも」と思ったんです。それが2010年に発売されたデビューアルバム『ずるいひと』のレコーディング直前でした。

--こうしたスタイルで歌うことについて、手応えを感じた瞬間はありますか。

なかの綾:働いているお店のホステスさんたちに、完成したCDを聴かせると泣きだすんですよ。それを見たときに「あ、私の歌が伝わるんだ」と感じました。あとは、クラブで歌わせてもらったときですね。「恋におちて」って、本来はしっとりした暗い曲じゃないですか。それをラテンアレンジで歌うんですが、「ダイヤル回して 手を止めた」の次の瞬間に、フロアにいた若いお客さんが「キャー!」って反応するんです(笑)。本当に歌詞の意味わかってんの? って思いましたけどね。でも、そうしたさまざまなリアクションがあったので、このスタイルで間違っていないんだと思えるようになりました。

--ところで「ホテル」の原曲を子供の頃に聴いたときは、本当にびっくりしましたよね。曲解説にもあるようにまさに「子供たちまでを翻弄させた希代の迷曲」で。これがクンビアにアレンジされているんですから……。

なかの綾:私のバージョンがもし流行ったとしても、幼稚園では歌うのが禁止になるでしょうね(笑)。

--昔は、子供が覗いちゃいけない世界があったじゃないですか。どんな分野であれ。ところが今はすべてがフラットになって、ダークな部分、影の世界が少なくなってしまいましたよね。だから、こうした内容の楽曲が残ってゆくのは、実は大切なことなんじゃないかと。人間のダークな部分や心に秘めておきたいことなどは、音楽でも文学にしても、それらがあるからこそ表現として深みがでたり、味のあるのもになったりすると思います。

なかの綾:スタッフのお子さんで10歳になる女の子がいるんです。スタッフが言うには「パパ、『ホテル』ってすごく楽しい曲じゃん! だってホテルで会って、ホテルで別れるんでしょー」って。性教育を始めるタイミングを悩んでいるそうです(笑)。

--では、『へたなうそ』の選曲はどのように行われたんでしょうか。

なかの綾:基本的には、プロデューサーのはせはじむさん主導で行いました。彼から曲とアレンジを提案されて、話し合って決めました。

--全部、知っている曲だったんですか。

なかの綾:いえ、実は「ホテル」は初めてそこで聴きました。それ以外は全部知っていましたね。特に「すずめの涙」は小学生の頃から歌っていました。もちろん、歌詞の意味は全くわからずで、たぶん「あばよ」って言いたかっただけだと思う(笑)。でも、この曲をカラオケスナックで歌うと、周りの大人がとても喜んでくれて。今思うと「小学生がなんて曲を」ですよね。

--大人が喜んでくれるから歌う、というのは歌手としての原点になっていると思いますか。

なかの綾:そうかもしれませんね。うちの父はホームパーティーが好きな人で、小学校から帰ると30人ほどの大人がしょっちゅう家にいるんです。そこで良く歌っていました。物心つくまえからそんな状態でした。だから、酔っぱらいの前で何か歌うということに慣れているんでしょうね。英才教育でしたね(笑)。

--「誰より好きなのに」は他の曲より時代が新しくなって、1996年の古内東子さんの作品ですね。これも渋くて素敵です。

なかの綾:この曲のレコーディング当日にキャラ設定をガラッと変えてみようという話になって。いちばん苦戦しました。

【ライブ情報】

夜と お酒と 男と女・・・
なかの綾 リサイタル
『へたなうそ』発売記念

2013年9月10日(火)
会場:CAY(スパイラルB1F)
東京都港区南青山5-6-23
時間:OPEN 18:30 / START 20:00
料金:予約 4,000円(指定席)
立見 2,500円(プレイガイド限定) 
当日 4,500円(着席)/ 3,500円(立見)
※予約の早い方から前方の席を御取り致します。座席の場所は選べませんのでご了承下さい。当日の着席は事前予約の状況により販売しない事もございます。

詳しくはオフィシャルサイトへ

--ところで、レパートリーは何曲ぐらいあるんですか。

なかの綾:私用にアレンジしたものだけで50曲はあると思います。

--腕利きのミュージシャンが結集するフルバンドを従えてステージに立たれることもありますよね。もはや、「なかの綾バンド」って感じでしょうか。

なかの綾:そうですね。先日もリハーサルをやったときに、私が「聖子ちゃんのライブを見てきたから、聖子ちゃんの曲を歌いたい」と言って勝手に歌いはじめたんです。そしたら合わせてくれて。結構無茶言っています(笑)。

--現在はカバー曲が中心ですが、個人的にはオリジナル曲ももっと聴いてみたいんですが。

なかの綾:私が歌っている原曲のことを考えると、自分では歌詞が書けないんです。とてもかなわない。メロディも、ちょっとひねくれたことをしてみたいと思っても、歌謡曲ではそれはしちゃだめなんです。逆に、ひねくれないようにしようとすると、「有名なあの曲っぽい」「この曲はあれに似ている」といったイメージになってしまいます。難しいですね……。

--なるほど。それを裏返して言うなら、やはり歌謡曲や演歌の有名曲はやはりクオリティが高いってことなんですね。では、これからカバーしてみたい曲を教えてください。

なかの綾:そうですね。ずっと不倫の曲ばかり歌っているので、次は幸せな歌を歌いたいですね(笑)。友達の結婚式の披露宴で歌えるような幸せな曲を。

--歌謡曲は、ハッピーエンドの曲って少ないですよね。アイドルポップにしても片思いの曲が多いですからね。

なかの綾:悲しい曲じゃなくてカバーするとなると「365歩のマーチ」になっちゃうのかなあ(笑)。

--最近、以前と比べれば歌謡曲を歌うアーティストが増えています。でも、正統派の方がほとんどです。過去の方法論でアプローチしているというか。それに比べてなかのさんの方法論の斬新さにとても共感します。

なかの綾:演歌や歌謡曲の正統派の方々は、きちんとした下積み時代がありますよね。そんな歌手のみなさんと比べられると肩身の狭い思いをすることもあります。私は京都から東京へ出て来て4年になりますけど、何をしていたかと聞かれれば、「お酒を飲んでいた」としか答えられません(笑)。

--今回の『へたなうそ』を聴かせてもらって、印象を強くしたことがあって。もちろんアレンジの斬新さもあるんですが、なかのさんの声が良く通っていて、そのおかげで悲しい曲や不倫の曲が、どこか輝いて聴こえるんです。良い意味であっけらかんとしているというか。

なかの綾:不倫しても悪いと思っていない感じがしますよね(笑)。ある方から言われたんですけど、「なかのさんは全くお客さんに媚びないですよね。あなた女王様だよね」って。

--最後に、ずばり歌謡曲の魅力ってどんなところにあると思いますか。

なかの綾:最近のJ-POPも好きでよく聴くんですが、歌詞を見てみると、ピンポイントで特定の人にしか当てはまらないようなものが多いと思うんです。状況描写が上手すぎるというか。それと同じシチュエーションのリスナーしか共感できないイメージなんです。だけど、歌謡曲は、その幅が広いな、と。たとえは、不倫の曲で言うと、歌詞には不倫とは明言していないから、片思いの状況でも、同じような気持ちになれるような歌詞の書き方がしてあります。そんなところがすごく上手だなと思うんですよね。『へたなうそ』の中でいちばん描写が細かいのが「ホテル」だと思うんです。歌詞で「電話番号が男名前で書いてある」という部分は、人生のどこかで遭遇したことのあるシチュエーションだと思うんです。そんなことを計算して作られているのかなって。歌っていても、聴いていてもそれが魅力的に感じますね。

--人の心の中にある、ちょっとしたダークな部分を吸い上げて来て、普遍的なものにしているようにも思えます。

なかの綾:初めて聴いたときと、10回目聴いたときでは若干印象が変わるのも面白いですね。歌謡曲は、年数が立てば立つほど、見え方が変化して行くような曲が多いと思っています。

なかの綾 Special Playlist
『お酒に合わせて聞きたい10曲』

なかの綾

1985年5月7日 京都・西陣の織屋の娘として生まれる。血液型B型。
10歳より京都市少年合唱団に在籍し音楽の基礎を学ぶ。佐渡裕、ウィーン少年合唱団との共演を経験。18歳より祇園のジャズ・クラブ、Repos(ラポー)にて専属シンガーとして歌い始める。ジャズ、昭和歌謡、オールディーズと幅広いジャンルのレパートリーを増やす。また、布袋寅泰、HYANGHAなどのバック・コーラスに参加し経験を積む。
2010年デビュー・アルバム『ずるいひと』をリリース。限定リリースした7インチ・シングルは各レコード・ショップのチャート1位を独占するなど、DJ/クラブシーンからも絶大なる人気を得る。また、クラブキング主催のイベント「黒い歌謡曲」にて近田春夫、リリーフランキーと共演する。
2011年 WOWOWで放映された「R60 スネークマンショー」に出演し、桑原茂一の演出で伊武雅刀、小林克也と共演。また、元ラッツ&スターの山崎廣明のバンド“ダイナミクス”のライブにゲスト出演する。
2012年4月、アルバム『ずるいひと』をアナログで限定リリースし、発売初日でメーカー在庫が完売する。同4月、日本最高のティンバレス奏者ウィリー・ナガサキのアルバム『ミッドナイト・ルンバ』収録曲の「別れのマンボ」にゲスト参加。同曲が有線インディーズ総合チャート(週間)で1位を獲得する。

なかの綾 オフィシャルサイト:
http://www.nakanoaya.com/

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