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絶好調雑誌編集長から学ぶ 古きを学び活力を得る、昭和40年男の温故知新活用法 北村明広氏(株式会社クレタパブリッシング代表取締役社長/昭和40年男編集長)

歌謡曲リミテッド スペシャルインタビュー

絶好調雑誌編集長から学ぶ
古きを学び活力を得る、
昭和40年男の温故知新活用法

北村明広氏
(株式会社クレタパブリッシング代表取締役社長/
昭和40年男編集長)

取材・文/竹部吉晃 取材/鈴木啓之 公開日:2014.07.15

出版不況と言われて久しいなかで、「そんなことはどこ吹く風」とばかりに好調に部数を増やしている雑誌が「昭和40年男」。その名の通り、ターゲットは昭和40年(4月~41年4月1日or早生まれ)生まれの男性。内容は彼らが幼少期から青春時代に原体験してきた娯楽の一つひとつを執拗にこだわり、丁寧に掘り下げる記事を掲載している。調べぬいたデータ、熱量の込められた記事、貴重な写真等々がバランスよく構成されており、ページをめくるたびにあの時代に戻ることが出来る。しかしながら、単なる昭和懐古趣味にあらず。あの時代の熱を思い出すことによって、「明日を生きる活力」に変えることを命題に誌面づくりに取り組んでいるという。そのキーマン、編集長であられる北村明広氏に話を聞いた。

--昨今の昭和再評価ブームの折、「昭和40年男」も昨年から今年にかけて、認知度を上げているように思うのですが、編集長の見解はいかがでしょうか。

北村:ぼくの感覚としては、おととしの秋に独立創刊したときがターニングポイントでした。雑誌がコンビニに置かれるようになってから一気に認知度が増した気がします。我々のような零細出版社は雑誌をいきなり創刊することが出来ないので、それまでは弊社が出しているバイク雑誌の臨時増刊という形で「昭和40年男」を出していたんです。ようやく認知され、独立創刊号として出した号の表紙を松田優作さんにして、それで世に広まっていった気がします。ただ、今年頭に出した「シティポップ特集」が大滝詠一さんの訃報と重なったことで注目を集めたのは確かで、その印象が強かったのではないかと思います。

--亡くなってすぐの発売ということもあり、インパクトの強い特集でした。

北村:実は、大滝さんの訃報を聞いた後、この号の発売を停止しようかと思ったんです。この号は今年の1月11日発売だったので、年内にすべて刷り上がっていて、あとは年明けに流通に乗せるだけでした。そんな状態での訃報でしたから、すごく驚いて、この号を発売してもいいものか、すごく悩んだんです。流通に乗るのが6日でしたから、仕事始めの4日までずっと考えていました。

--それはどういった理由だったのでしょうか。

北村:表紙が『ロンバケ』のパロディだったので、不謹慎なのではないかと思ったんです。でも、いろいろな人に相談したところ、「ちゃんと大滝さんに敬意を表してのパロディだから問題ない」と言ってもらって発売に踏み切りました。発売したらものすごい反響だったんですが、その中には抗議の声はひとつもありませんでした。特集の中で、「僕らにとってのシティポップの元祖は大滝さんでした」と書いているので、我々のそういう敬意を汲み取ってもらうことができ、追悼号として受け入れられたのかもしれません。ホッとしました。

--そういう作り側のこだわりが誌面からひしひしと伝わってきます。最大のこだわりはどこにあるのでしょうか。

北村:昭和40年生まれという年代を限定しているところです。実際には前後何年かの生まれくらいの方も読んでいただいているようですが、我々はあくまでも昭和40年生まれという年齢をターゲットにして勝負しています。だからこそ、他の年代の方も入ってきたくなるんだと思うんですが。インタビューの中でも「タメ年」と言っているのは昭和40年4月から4月1日生まれor早生まれまでなんです(笑)。そういう限定感を出しながら、他の年代の方も入ってきてもらう。そこが最大のこだわりですね。でもぼくらは小学生のときに「小学4年生」や「小学5年生」を読んでいますよね。あれと同じ発想ですよ。

--なるほど。そもそもどういうきっかけでこの雑誌を発案したのでしょうか。入念なマーケティング調査を元に創刊したのでしょうか。

北村:とくにマーケティングはしていません。すべてぼくのカンです。昭和40年生まれの男がどれくらいいるのか、という数字はまわりを説得するためにあとから調べたくらいで(笑)。ぼくはいつもそうなんです。見て、感じて、観察を繰り返す。たくさんのリアルなコミュニケーションを通してアイデアを出す。ぼくはもともと雑誌が好きだから、究極の考えとして、「ぼくがいちばん読みたい本は何だろう?」と考えたとき、自分らの年代を対象とした読者を「俺たち」と呼べる内容の雑誌を思いついたのです。

--それは驚きました。会社トップだから実現できたのでしょうか。

北村:トップだからこそ失敗できません。思いついてから創刊まではかなり時間がかかりました。

--入念な自分マーケティングで作ったんですね。それは雑誌のタイトルに現れているのでしょうか。

北村:本当は、「昭和40年生まれの男たちのための何某」みたいな雑誌名にしたかったんです。「昭和40年生まれの男たちのための」がサブタイトルで○○みたいなカタカナのタイトルが来る感じのものです。でも、それではあとで大手に真似されるかもしれないって思った。「昭和40年男」だったら他社は真似できないだろうと……。将来的には「昭和50年男」「昭和60年男」を作りたいと思っています。「昭和40年女」という女性誌もやりたい。タイトルはちょっとしゃれて「1965レディ」とかにして(笑)。

--ポパイにはオリーブが必要ですからね(笑)。雑誌を拝見すると毎回ネタが豊富ですよね。

北村:昭和40年生まれの男たちが過ごした時代はすごくいい時代でした。映画、歌謡曲、洋楽、テレビ……。そのほかの娯楽がすべてわさわさしていました。しかも、未成熟だった面白さがあった。今になって懐かしんで、あの時代はよかったと言うけど、あの頃はけして豊かではなかったですよね。街の至るところが汚かったし。

--まだまだ貧乏で裕福とはいえませんでした。

北村:生活をよくしようという気持ちを持って上を向いていくしかなかった。だから、その頃に作られたものには必ず熱があったんです。面白いものがたくさん身の回りにあった。あの頃の歌謡曲が面白かったのも、時代が未成熟だったからだと思うんです。創意工夫にあふれていたから、インパクトが大きい作品が多かった。僕らはそんな時代を感受性の強い時期に過ごしました。

--ジュリーと山口百恵がいて、ピンク・レディとキャンディーズがいた時代って、今考えたらすごいですよね。

北村:まさに奇跡の年代だと言っているんです。今はネットをいじればなんでも情報を入手できるし、牛丼やハンバーガーも安価で食べることが出来る。すごく豊かな時代です。そういうことに今の人は気づいていないのかなというくらい。でも、整備されすぎているから、すごいものを作ってもインパクトを与えることが出来ない。

『昭和40年男 Vol.26』

7月11日発売 定価700円(税8%込)

総力特集:
俺たちの胸をときめかせたスーパーロボット

連載特集:
夢、あふれていた俺たちの時代。
【15歳・昭和55年】

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--特集を掲載するタイミングは考えているんですか。

北村:タイミングはあまり考えていません。去年の「夢のモーターショー」くらい。それよりも、大事にしているのは限定感ですね。例えば、昭和40年男で長嶋茂雄さんの大特集をやろうとは思わないんです。なぜなら長嶋さんは日本人すべてのスーパースターだから。ぼくらの世代だけのスターを取り上げたいんです。以前、甲斐よしひろさんに取材したとき、「甲斐バンドの「ヒーロー」は僕が中一のときのヒット曲で、中1だったからこそすごく響いたんです」と言ったことがあったんです。中3や小5だったら違う解釈をしていただろう。中1だからこそ心に響いたと。そうしたら甲斐さんも「そうだよね」って(笑)。あと、「女神特集」をやったときに、女神の中に研ナオコさんを入れたんです。ぼくらが子どもの頃、研ナオコさんは毎日のようにテレビで笑いを提供してくれて、中学時代はヒット歌手として人気があった。そういう僕らという限定感での価値観で選んでいるんです。

--徹底した同世代主義なんですね。

北村:シティポップに関しても、当時高校生だった僕らは背伸びをしながら聞いていたわけです。あの頃のシティポップは大学生や若い社会人に向けた音楽でしたから。まだ、女の子と手をつなぐこともできない世代にシティポップはすごく大人の世界を見せてくれた。そういう目線で特集を組みました。

--ここまでの存在になった理由をどう分析されていますか。

北村:先ほども言いましたように、たまたまタメ年本を作りたかったというだけなんです(笑)。ただ、この雑誌を出した2009年当時は、リーマンショックのあとで、時代が殺伐としていてすごく嫌な空気を感じていました。そんななか、自分たちの世代が頑張らないと日本はまずい、と思ったんです。今一度、昔の大人たちを見習ったほうがいいんじゃないかと。昔の大人は若者を口うるさく叱っていましたよね。当時子どもだったぼくらが大人になったいま、若者にコミットしないのはよくない。そういうことを共感したかったというのが裏コンセプトにあります。表紙にあるキャッチの「明日への元気と夢を満載!」が同世代へ向けてのメッセージ。世の中引っ掻き回そうぜ!と。

--けして懐古趣味ではないと。

北村:そうですね。特集やインタビューにしても、別に昔を懐かしがるつもりはありません。「懐かしいですね」と言われても嬉しくはない。「元気になりました」と言われるとすごく嬉しいんですけど(笑)。たとえば、歌謡曲ひとつを取り上げるにしても、そこに潜んでいた作家や歌手の熱を救い上げて、それを吸ってもう一度元気になりたい。そこがこの雑誌の肝だと思っています。

--昨今は、昭和ブームと言われていますが。

北村:感じてはいますけど、そういうものとは並ばないように工夫をしようと、気をつけています。

--昭和歌謡も再評価の機運が高まっています。若い人の歌謡曲好きも増えているようです。

北村:でもそれは結局、歌謡曲の作りの良さということですよね。懐かしいという感覚で聞いているのではないと思います。突出した才能が集まって作った音楽に、宿っているものを感じ取って支持しているのではないかと。たった1人でもパソコンで音楽を作れる時代だからこそ、よけいに鋭く感じ取れるのではないでしょうか。

--その歌謡曲への取り組みはいかがですか。

北村:毎回第二特集は連載として、ある年にフォーカスしてその年に流行ったものを取り上げています。写真を使って、分かりやすく見せているんですけど、その中で必ず音楽コーナーを作って、歌謡曲にフォーカスしています。やはり、歌謡曲は大きなひとつのコンテンツですね。本当は歌謡曲特集をやりたい。とくに我々の世代は阿久悠さんの存在はとても大きいから、そういう特集をやってみたです。

--今後の目標はありますでしょうか。先ほど、「昭和50年男」や「1965レディ」といったアイデアが出ていましたが。

北村:いまはとにかくこれを継続させていくことですね。読者と一緒に歳をとっていく雑誌、という意味では、50歳の大台に乗るときに大きな壁を乗り越えると思うんです。昭和40年男は来年50を迎えますから、来年の新年号で、50の壁は何なのかを考えてみたいですね。「平家物語」の中で敦盛は人生50年と謳っているわけですから。そういうことでいうと、昔の人だったらもう寿命なわけですよ。だから、もうあっち側に行ってしまう感覚。50という壁は大きいですよね。

--やはり50という数字は大きいんですね。この世代の特徴に気づくことはありますか。

北村:いま昭和40年男は傷ついている人が多い。定期的に読者ミーティングをやっているんですが、誰もが何かしらの問題を抱えています。最近は離婚率話が多く、子どもの問題や親の介護等々、深刻な問題を抱えています。にもかかわらず、この世代は元気です。死語かもしれないですけど、この世代はネアカが多いんです。昭和37年から45年生まれくらいまではその傾向が見受けられます。ちょうど、新人類と言われていた世代なんですが(笑)。

--ネアカ、いい言葉ですね(笑)。

北村:でもこの間、ぼくが原稿の中でネアカと言う言葉を使ったら却下されてしまいました(笑)。スタッフから「いまはこんな言葉分かりません」って。「いや、僕らの世代は分かるんだよ」って。

--確かにその世代は楽観的かもしれませんね。いい時代にいい娯楽を体験したことが大きいんですかね。

北村:すごく前向きですよね。弱音は吐かない。辛い時代かもしれないけど、これからも、みんなでへこたれずに頑張って一緒にやっていきたいと思っています。

北村明広

ミュージシャン、広告代理店勤務を経て26歳で起業。広告関連の仕事を通じて、バイク関連の雑誌の仕事に携わるようになり、以後次々とバイク雑誌を創刊させ現在では7誌を発行している。バイク以外のビジネスを立ち上げようと模索を続け、2009年に『昭和40年男』を創刊して現在に至る。

昭和40年男公式HP
http://www.s40otoko.com/

編集長のつぶやき
http://www.s40otoko.com/archives/category/chief_editors_voice

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