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なかの綾 『わるいくせ』

歌謡曲リミテッド スペシャルインタビュー

なかの綾
『わるいくせ』

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インタビュー・文/竹部吉晃 公開日:2014.09.08

昭和の時代の歌謡曲に対して斬新なアプローチで取り組み、かつラテンのリズムに乗せたアレンジで、新しい価値観を作り出しているなかの綾。昨年7月の『へたなうそ』に続くニューアルバム『わるいくせ』が、9月3日に発売された。クレイジーケンバンドの横山剣と「別れても好きな人」をデュエットし、川上つよしと彼のムードメイカーズの演奏をバックに「ウイスキーが、お好きでしょ」をカバー。そして、ジャケットのイラストを大友克洋が手がけた充実豪華アルバムとなった。歌手としてのキャリアを確実にステップアップしようとしているなかの綾に1年ぶりに話を聞いた。

--先日、「輝け!日本のレコード大将」という歌謡曲のDJイベントに行ったらなかのさんのアナログシングルが大音量かかっていまして、改めてレコードの音の素晴らしさに痺れるとともに、なかのさんの歌謡曲へのアプローチに感服しました。そういう楽しみ方はなかのさんの目指していた方向性のひとつであるわけですよね。

なかの:それは嬉しい! そうですね。私の歌が自分と世代の近い人にどのくらいアプローチできているのか、受け入れられているのか、ということがすごく気になります。私のライブに足を運んでくださる方は年輩とまではいかなくとも、やはり40代よりも上の世代が大半を占めています。そんな中で、私と同じ20代の人は歌謡曲にどういう反応をするんだろうって、ずっと思っているんです。我々の世代の人間は、普通に生活していたら、昭和の歌謡曲って触れる機会の少ない世界じゃないですか。

--なにかしらのきっかけがないと難しいですよね。

なかの:だから、そういうところで私のレコードをかけてくださっていることはとても嬉しいです、私もたまにお店に出かけていって「このレコードをかけてください」ってお願いすることもあるんですけど、やっぱり、私の曲が現場でどう聴かれているのかをのぞき見るのは楽しいですね。

--ご自身で流しみたいなプロモーションを?

なかの:DJイベントではなくて、普段からレコードをかけているロックのお店やディスコのお店です。そういうところに出かけていって、お客さんの反応を見ているんです。

--でも最近は、なかのさんのファンの中に若い人が増えてきているのではないですか。

なかの:増えてきていますね。とくに若い女性が多いです。なかには、私の歌を聴いて本気で感情移入して、「なかのさんの歌う歌詞のような恋愛で悩んでいるんです」と言って相談されたり……。

--それはなかのさんの姐御キャラあってのことですよね(笑)。

なかの:そうなんですかね……。

--なかのさんはライブのMCの中でプライベートの恋バナをされるじゃないですか。その影響も大きいのではないかと。なかのさんの恋バナはお客さんの受けがいいですよね。

なかの:不本意ですが……(笑)。

--そこはもう自分を世にさらしてもいいという覚悟の上のことなんですか。

なかの:私は関西出身なので、MCで笑いをとりたい気持ちが強いんです。でも人の悪口は好きではないし、時事ネタも疎い部分があるから、そうなるとダメな自分を出すしかない。それで笑ってくれるのならいいかと……(笑)。

--あれはすべて実話ですか。部屋のメイク落としが蒸発していたエピソードは最高ですよね。

なかの:あれは鉄板です。昔は「恋のから騒ぎ」に本気で出ようとしていましたから(笑)。

なかの綾
『わるいくせ』

9月3日発売
UMCK-1490 ¥3,000+税
ユニバーサル・シグマ

amazonで購入する

<CD収録曲>
01.ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー
02.別れても好きな人 Duet with 横山剣
03.雨の慕情
04.二人でお酒を
05.メモリーグラス
06.ウイスキーが、お好きでしょ
with 川上つよしと彼のムードメイカーズ
07.セカンドラブ
08.さよならイエスタデイ
09.心のこり
10.NEVER SAY GOODBYE ちょっと待って下さい with バンバンバザール

--その辺が女子受けするひとつの理由なのではないでしょうか。

なかの:そんなに自慢することではないんですけど……。でも私の体験を話すことによって、女性から笑いが起こるということは、誰しもが同じような体験をしていて、共感してもらっているということだと思うんです。それで前作のアルバムのタイトルを「へたなうそ」と付けたんです。

--なるほど。でもつらい経験は、自分の中で消化して、ネタにできるまでは時間がかかるのではないですか。

なかの:私はぶっ飛んだ経験をすると、確かに辛いことではあるけど、これはネタとして使えるかもって考えるようになってしまっているんです(笑)。「恋のから騒ぎ」への憧れは半端ではなかったので……。ホントに出たいと思っていたんですよ!

--まだMCで話していないネタはあるんですか。

なかの:だいたいの話はステージでネタにしていますからないと思います。あ、闇金を経営していた彼氏にドアをボコボコに蹴られた話はしていないかも(笑)。

--そんな話があるんですね。それはいつかMCで……。

なかの:でもそれは言いづらいな……。

--でも、そういう人生経験ある人が歌うからこそ、歌謡曲で歌われるフィクションの世界を演じられると思うんです。

なかの:そうですね。私は常に聞き手が歌詞の世界を自由に解釈できるように歌いたいと思っているんです。自分が歌っている歌の世界を限定させたくないんです。例えば、歌に出てくる女の人は、奥さんなのか愛人なのか、昔付き合っていた恋人なのか。思い浮かべる人は聴く人それぞれ違うでしょうから、歌を聴きながらそういうことを想像してほしいんです。昔の歌謡曲は歌詞の言葉遣いに遊びや余裕がありますよね。情景の描写も聴く人によってイメージが違います。私も勝手に想像しながら歌いますけど、お客さんも同じようにいろいろな情景を当てはめながら聞いてほしいと思っています。

--まさにその通り。なかのさんのやってきた新しい歌謡曲への取り組みはここ1年で浸透してきた気がするんですが。

なかの:もともとこの企画を始めたとき、自分が歌う歌謡曲を親子で聴かれる音楽にしたいという夢があったんです。実際に最近では「親の分もCDを買います」と言ってくれるファンの方や「息子に話を聞いてライブに来てみた」という方もいて、確実に広がっていっているような気はしますね。

--そういう意味ではカバー曲はメジャーものがいいんでしょうか。

なかの:多くの人にリーチするための選曲は心がけていますね。

--でもアレンジはオリジナルとは全く異なるラテン仕様になっています。ここへの反応はいかがですか。

なかの:色々な場所で歌わせてもらっていますが、反応はいろいろです。若い方には受けがいい一方で、オリジナルのアレンジが体に沁みこんでいる年輩の方の中には、受け付けないという人もいます。大胆にアレンジしていますから、好きか嫌いかがはっきり分かれるとは思うんです。

--一種のチャレンジだから仕方のないところなんですかね。でも玄人受けはしていますよね。まわりでなかのさんの悪口は聞いたことがないです。

なかの:メディア関係の仕事をされている方からの受けが良いということは強く実感しています。そういうキーパーソンからの吸引力はすごくて、いろいろなところで広めていただいていることは嬉しいかぎりです。でもこれからはもっと普通の一般層で受け入れられればと思うんですが(笑)。

--それが今回の『わるいくせ』になると思うのですが。

なかの:そうなってほしいと思います。このアルバムには爆弾がたくさん仕込んでありますからね(笑)。

(次ページへ続く)

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なかの綾

1985年5月7日 京都・西陣の織屋の娘として生まれる。血液型 B型。10歳より京都市少年合唱団に在籍し音楽の基礎を学ぶ。佐渡裕、ウィーン少年合唱団との共演を経験。18歳より祇園のジャズ・クラブ、Repos(ラポー)にて専属シンガーとして歌い始める。2010年デビュー・アルバム『ずるいひと』をリリース。限定リリースした7インチ・シングルは各レコード・ショップのチャート1位を独占するなど、DJ/クラブシーンからも絶大なる人気を得る。2012年4月、アルバム『ずるいひと』をアナログで限定リリースし、発売初日でメーカー在庫が完売する。2013年6月「NHK歌謡コンサート」に出演。同年7月、ユニバーサル・シグマよりミニ・アルバム『へたなうそ』でメジャー・デビュー。2014年6月、7インチ・シングル『ちょっと待って下さい』をリリース。FMヨコハマにて毎週水曜日24:00からレギュラー番組「今夜もおきばりさん!」のメイン・パーソナリティーを務める。

オフィシャルサイト:
http://www.nakanoaya.com/

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