トップページ 特集 畑中葉子 ソロ・デビュー35周年を迎えてますます活動盛んな歌謡界のマドンナ

畑中葉子 ソロ・デビュー35周年を迎えてますます活動盛んな歌謡界のマドンナ

歌謡曲リミテッド スペシャルインタビュー

畑中葉子
ソロ・デビュー35周年を迎えて
ますます活動盛んな歌謡界のマドンナ

取材・文/鈴木啓之 公開日:2014.12.10

1978年に「カナダからの手紙」を大ヒットさせた後、翌年にソロ・デビューを果たしてから35周年を迎えた畑中葉子が、35th Anniversary Specialとして、初のCDボックス『後から前からBOX』を8月にリリース。翌月には『平尾昌晃&畑中葉子ゴールデン☆ベスト』も発売された。ライヴ活動や舞台出演など、メモリアルイヤーに相応しい、目覚ましい活躍ぶりを見せており、今後も歌手として役者としてさらなる飛躍が期待される。昨今の歌謡曲ブームを語る上で欠かせない存在のひとりである彼女に、歌手デビューの頃のエピソードや今回の復刻の経緯、そしてこれからの活動について伺った。

--『後から前からBOX』が生まれた経緯をお聞かせください。

畑中:これは話すと長くなるんですが、歌手として復帰したんですけどなかなか仕事がない時期がありまして、それなら自分でいろんなところでライヴをやろうとしていたんですね。その時にツイッターで岩下の新生姜の社長さんと繋がって。それで社長さんが、エンケン(遠藤賢司)さんと鈴木慶一さんと佐野史郎さんがカラオケに行ってエンケンさんが「後から前から」を歌ったと鈴木慶一さんのブログに書いてましたよ、と教えてくださった。さらには、クドカン(宮藤官九郎)さんのNHKのラジオで、“眠れないときに聴く30曲”にエンケンさんが「後から前から」を入れてますよということで、これはもうご挨拶しないわけにはいかないと思って社長さんに相談したところ、一緒にライヴに行きましょうってことになったんです。そこで初めてエンケンさんとお話させていただいたんですが、その後に私ひとりでまたライヴに行った時に、ディスクユニオンの方がいらっしゃっていて、新宿にある昭和歌謡館というところが今プッシュする人を探してるというお話で、エンケンさんが「畑中さんやりなさいよ」と推薦してくださったんです。それでディスクユニオンの方が私の盤を復刻しようとビクターに連絡をしたら、うちからも出そうと思ってるんですっていうタイミングだったんですね。それじゃあ私も制作に関わらせて下さいとお願いして。しかも当時お世話になった衛藤さんが、現在の所属事務所であるビクターミュージックアーツの代表取締役になっていて、マネージメントもお願いすることになりました。

--その時点でこうしたコンプリートの復刻をお考えだったんでしょうか。

畑中:私はもう1枚でも復刻盤が出せればいいなと思っていて。4枚目の『香艶的夜總會(ロマンティック・ナイトクラブ)』というのは、中古のLPでもなかなか出てこないらしいんですね。私も引っ越しを重ねているうちに所在が判らなくなって聴くことが出来なくなってしまって、私自身が欲しくてしょうがなかったんです。それが1枚どころか4枚まとめた形で実現して本当に嬉しかったですね。私の意見も採り入れて下さって。この4枚目のアルバムは写真集と一緒に出されたもので、ジャケットも向こうで撮ったものです。ビクターが香港のレコード会社と提携しての第1弾だったそうで。

--ボックスにはアルバム4枚がまるごと収められていますが、それぞれのボーナスト・ラックも充実していますよね。

畑中:とにかく全部入れましょうということでしたので。これに繋がったのは、2007年にゴールデン・ベストをほかの方と3人同時に出した時に、私の盤についてはビクターが二の足を踏んだらしいんです。それをライナーを書いて下さった、つのはず誠さんの猛プッシュで出していただいたら、ほかの盤が一年ほどで売れ行きが止まった後も私のものだけがコツコツと売れ続けていたそうで、ビクターの方も「アレッ!?」と思われたらしい。そんな経緯もあって今回の復刻に繋がったそうなんです。なによりファンの方が地道に根気よく応援し続けて下さった。ディスクユニオンさんでイベントをしたこともあってか、週間チャートで1位になったことも、ずっと待っていてくれたファンの方のお蔭だなあと。心から有難いと思っています。

--この上なく充実した最良の形での復刻と思います。それぞれのアルバムに思い入れがあられると思いますが、特に憶えていらっしゃることはありますか。

畑中:お蔭さまで忙しい日々を過ごさせていただいたんですが、その分納得して歌っているという曲があまり無かったですね。風邪をひいていたりして常に体調が万全ではなかったと思います。それなのにこれだけ素晴らしい楽曲を作っていただいていたということに感謝するしかありませんね。20代の時にいただいた歌を、50代になった今、どう料理するかということを考えます。皆さんから「50代になってもあの楽曲をしっかり歌ってくれてるじゃん」って言われたいという。あの頃は与えられたものを歌うのが精一杯で、それ以上のことは考えられませんでしたけれども。今はもうちょっと向き合える。それにしてもこれだけ納得のいく素晴らしい楽曲を作っていただけたことは、作家の先生方はもちろん、ディレクターに感謝してますね。いろんな方の曲にも挑戦させていただきましたし。

畑中葉子
『後から前からBOX
[ソロ・デビュー35th Anniversary Special]』

発売中 ¥6,900+税
アルバム(4枚組) / VICL-70129~32

amazonで購入する

<CD収録曲>
DISC 1
『白日夢』(1982年)(& 9)
記憶のヒットシングル「後から前から」「もっと動いて」、ソロ・デビュー 作「ロミオ&ジュリエット’79」のほか、「横須賀ストーリー」「経験」などカバー曲を3曲収録

DISC 2
『メタモルフォーゼ(脱皮)』(1982年) (& 7)
アナーキーの仲野茂が参加したロック色の強い作品。衝撃作「ダスター シュート・ベイビー」や、ビートたけしの即興トークが絶好調な「丸の内ストーリー」も収録。

DISC 3
『強行突破』(1982年) (& 8)
スネークマン・ショーをよりコミカルによりセクシーに仕上げたような意欲作。ボーナス・トラックには「私はピアノ」「愛の水中花」「まちぶせ」などレアなカバー曲を収録。

DISC 4
『香艶的夜總會(ロマンティック・ナイトクラブ)』(1983年)(& 5)
現時点でのラスト・アルバムで、オークションでも高騰していたほどの名 盤。ボーナス・トラックには「フラッシュダンス」の日本語カバー「愛はMUSIC」も収録。

--この曲はぜひ聴いてもらいたいという、アルバムの聴きどころを教えてください。

畑中:『ロマンティック・ナイトクラブ』に収録されている「出もどり魔女」はトム・トム・クラブ「おしゃべり魔女」のパロディ的な曲なんですが、今の若い方にも受け入れていただけそうな、クラブでもかけていただけるんじゃないかと思う曲です。「Solitude」は男性の方に人気があるみたいで。あと、『白日夢』に入っている「モア・セクシー」は溜息だけの曲ですけど、海外の方にも広く聴いていただいているようですし、素晴らしい楽曲と思います。そうやって挙げていくとキリが無くなっちゃいますが。カヴァーの中では「私はピアノ」は聴いていただきたいかな。自分で聴き返してよく歌っているなと(笑)。『強行突破』に入っているカヴァー群は当時はテープだけでしか出されなかったのでその後はあまり聴く機会もなくて、自分でも「あ、これも歌ってたのか」という感じなんですよ。

--曲のタイトルに準えたボックスのタイトルは面白いですね。

畑中:これ、実はもう少し手の込んだものかと思ってたんですけど(笑)。最初は「どうぞ」と大きく書かれたデザインだったんですけど、歌手・畑中葉子を前面に打ち出して欲しいということがあったのでこれはちょっとやめたいとお願いしまして。電話とかでも結構夜遅くまでああでもないこうでもないというやり取りをしましたね。「後から前から」が今になって見直されていることが有難いですね。若い方がカヴァーしてくれたり、あの頃テレビや映画で見て私を応援して下さっている40代、50代の方々のお蔭だと思いますね。だから自分で動いていたこともありますけど、周りから固めてもらったという感じですかね。「後から前から」は本当に名曲だと思うんですよ。新たにレコーディングというお話もいただきましたけど、この曲に関してはこれ以上のものは作れないかなと思いまして、もうこのままで。新しく作り直す気はないんです。

--今の若い方がカヴァーされることで、また新たな層にも曲が認知されてゆきますね。

畑中:そういう方たちのファンの方にもまた私を知っていただくというチャンスでもあるので。それには自分自身が立っていかないと、お互いに寄りかかっていては成り立たない世界ですから。私としては、まずは畑中葉子をもう一度歌手として復活させてから、そうしたみなさんとぜひご一緒出来ればと願っています。そういうコラボレーションの機会が訪れたらいいですね。

--ボックスに続いて平尾昌晃さんとのデュエット作品を集めた『ゴールデン・ベスト』も発売になりましたが、最初に一緒に歌われるのが決まった時はどんなお気持ちでしたか。

畑中:あ、デビュー出来るんだ! というのがまずありましたね。本当はアイドルでデビューしたかったんですけれど、高校卒業までには道を決めたいと思っていたので、どういった形であれ純粋に嬉しかったです。スクールに通いだした頃から、いつかはフリフリの衣装を着てっていうイメージは何となく想い描いてましたから、平尾先生と一緒というのは意外でしたが、それでもレコードデビューなんてなかなか出来ないことですからね。ついにチャンスが巡って来たという思いでした。

--「カナダからの手紙」の曲の印象はいかがでしたか。

畑中:最初にギターで演奏されたテープを聴いた時は、「え、なにこの曲!?」というのがあったんですよ。普通、下から上がっていく曲は多いですけど、高いところから出て段々下がっていく曲ってあまりないんですよね。「絶対売れない」って思ったんですけど(笑)。よく私のことは平尾先生が選ばれたと思われている様ですが、実はそうじゃなくて、スタッフの方に選んでいただいたそうです。そもそも音楽教室に通っていても直接レッスンを受ける機会ってあまりなかったんですよね。ちゃんと指導していただいたのはこのレコーディングの時が初めてだったくらいで。でもデビューしてからは平尾先生に守られている感じはありましたね。紅白歌合戦に出させていただいた時も白組でしたし。その分同期の新人とはあまり交流がなくて、新人賞のノミネートも少なかったです。デビューは一年先輩でしたけど年齢はひとつ下の高田みづえちゃんにはよくしてもらいました。

--「カナダからの手紙」以外で印象深い曲はなんでしょうか。

畑中:ソロになって最初の「ロミオ&ジュリエット’79」のレコーディングは苦労したのを憶えてます。6回くらい録り直しました。それまでのデュエットの時と違った、ソロのためのレッスンを受けて臨んだんですけど、その環境に慣れなくて、ディレクターとも衝突してしまいました。あとはたけしさんとの「丸の内ストーリー」。レコーディングの時はずっと一緒でしたけど、とにかくシャイな方という印象でした。当時ももちろん大人気でしたけど、今思えば“世界のキタノ”とご一緒させていただいたんだから凄いことですよね。

--最後に今後のご活動の展望をお聞かせください。

畑中:実際にファンの方は聴いて下さっていても、世間一般であまり歌手・畑中葉子というイメージがないので、そこを認めていただけるような楽曲を作りたいです。ちあきなおみさんとかテレサ・テンさん、松尾和子さんや青江三奈さんといった、しっかり歌が歌えて艶のある、大人の女性の歌を歌いたい。ちあきなおみさんはご健在ですけど今は歌われていないので、そこに代わって歌える歌手になりたいですね。全然届きませんけど、なれないことはないんじゃないかと。皆さんから愛される歌謡曲を歌っていきたいです。

(2014.10.21 ビクターにて)

畑中葉子

東京都八丈島出身。日大櫻丘高校卒業後、1978年、デビュー曲となった平尾昌晃とのデュエット「カナダからの手紙」が大ヒット。同年には紅白歌合戦にも出場を果たす。翌年にはソロ・デビュー。映画やテレビドラマでも活躍。一時期芸能活動を休止するも2000年代になって再開し、最近は舞台出演にも挑んでいる。2013年には歌手デビュー35周年、今年はソロ・デビューから35年を迎え、CDのリリースも盛ん。ビクターミュージックアーツ所属。

オフィシャルブログ:
http://yaplog.jp/yoko-hatanaka/

NEXT歌謡フェス 懐かしむだけのものじゃないー新しい歌謡曲の魅力を発信する次世代への歌謡フェス、記念すべき第1弾が2017年3月25日(土)に新宿LOFTにて開催!

『東京レコード散歩』2017年2月22日発売。東京にちなんだ曲だけを収録したコンピレーション・アルバム『東京レコード散歩』第二弾がレコード会社3社から同時発売!

原田真二 提携グッズサイト『Feel Happy』音楽制作、ライブ活動、チャリティ事業を積極的に行い、2017年にはデビュー40周年を迎える原田真二との提携グッズサイトが「Feel Happy」。魅力的なオリジナル・グッズを提供していきます。

岩崎宏美 ONLINE SHOP 昭和51年1月に発売された『近代映画ハロー新春号 岩崎宏美 集』の全ページに、平成28年最新インタビューを追加した、特別復刻プレミア豪華版。

大場久美子 DELUXE BOOK トップアイドル時代の大場久美子の『近代映画』記事、グラビアを復刻!

FMおだわら(78.7MHz)第1、3火曜25:00~25:30、同週の木曜21:00~21:30<再>

モナオ(旧芸名 唐沢亮) 大人の皆さん、これがムード歌謡のNEWスタンダードです。『たぶん新宿』 唄:モナオとマシュー

ラジオ歌謡選抜

TWITTER

  • now loading...

disk union 昭和歌謡館